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  • 「ちびっこ吸血鬼」シリーズ


    『ちびっこ吸血鬼シリーズ』は、日本では1990年前に刊行され始めた、アンゲラ・ゾンマー・ボーデンブルグ著の、ドイツの子供向けのファンタジー小説です。
    僕が読んだ初めての小説で、小学生のころから中学生になるまで、毎年一巻くらい出され、16巻で完結しました。まだ図書館に入らないかなと本棚をチェックしたものです。そういう意味で、今でもとても大切にしてる作品です。
     
    ハリーポッターからいろいろなファンタジーが輸入され始めたけれど、僕はあえてこれを奨めたいですね。内容は、吸血鬼マニアの、ごく普通の小学生アントンが、ちびっこ吸血鬼のリュディガーと出会い、いろいろな冒険をおかしながら親交(?)を深めてく、というもので、アントンに熱を上げる、リュディガーの妹のアンナもからんで、この三人が人間、吸血鬼という違いにもかかわらず、互いの生きる場所、人間界・吸血鬼界をインターに活動します。

    勿論、それまでの吸血鬼は、人間に対立するもの、敵として描かれてきたので、リュディガー、アンナ以外の吸血鬼は基本的には、アントンにとって危険な存在です。それでも、それぞれの吸血鬼が、きちんと性格を与えられた、とても人間身のあるキャラクターとして描かれていて、独自の世界観が魅力的につくられています。
    そして、永遠のときを生きる吸血鬼と人間のアントンには別れが必然的にあるわけで、最後は感動的な別れと物語は進んでいきます。いわば、人間として自らの世界を生きていくためのアントンにとっての、そして一人前の吸血鬼になるためのちびっこ吸血鬼たちにとっての独り立ちです。
     
    この作品、イラストレーターのひらいたかこさんが絵を描いており、それがとても魅力的なんです。本当に個性的なキャラクターをそのままに描けていますね。一回、本場ドイツではどのような挿絵になっているのか、と調べたんですが、これがまた洗練からかけ離れた絵で、ひらいたかこさんの功績を痛感しました。
    ドイツの絵がそのまま、だったり、それに引っぱられた絵でなくて良かったです。そうだったら読まなかったかもしれませんし…。
     
    最後になりましたが、この小説、確かに子供向けなのですが、受容する感覚がある人ならだれでも楽しめます。全巻あわせたら長編小説にもなるし、近くの図書館にでも入っていたら一読してみる価値はあります。アメリカ・ドイツ合作で映画化(見てないがパロディに近いかも。設定がかなり異なります。)もされたようです。ああ、お金と本棚があったら全巻買ってみたい…。
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