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  • ジョン・ウィリアム・ウォーターハウスの絵画


    ジョン・ウィリアム・ウォーターハウス(1849-1917)はラファエル前派の流れに位置づけられるイギリスの画家。
    その筋では結構人気がある画家のようで、絵のプリント類は画集コーナーとかでしばしば見かけたりしますし、ネットでも体系的にまとめられたりしています。僕もこのように出回っているヴィジュアルを通して彼の絵を知ったわけで、実際には見たことがありません。これからの対面を期待して、最も注目している画家の一人です。

    ウォーターハウスの描く画題は、ほとんどが神話主題や何らかの寓意を持った女性画です(一部はファム・ファタルという一般名詞でも表せるでしょう)。
    確かなデッサンと、精密な描き込みは、彼が影響を受けている、イギリスの新古典主義、ラファエル前派などと共通するものです。綿密な描写をしながらも筆触を残しながら描く感じや、ある種理念化された女性像の表現などはラファエル前派チックです。純粋な技術を持つ画家としてフランスの新古典主義画家のジャン・レオン・ジェロームを僕は一番のグループの中の一人に推していますが、1880-90年代の作品の幾つかはこれに匹敵するのではないかというような表現ですね。
    そして多くある魅力の中で一番ひきつけられるのが、きちんとその瞬間の場面を描く、という構成力ではないでしょうか。ここしかないような決定的な意味を呈示する場面が描かれているからこそ、見る側もはっとさせられる緊張感を感じるのだと思います。そのために、人物の配置、背景の構成などは勿論、キャンヴァスの大きさにも留意を置いていることも明らかです。幻想的、ユートピア的な色調と表現に独特の妖しさが漂うウォーターハウスの絵は、その点では他の大画家と比べても群を抜いている感を持ちます。

    彼の絵を直接見たいところですが、調べてみると主要な作品はほとんどがプライヴェート・コレクション。何故なんだろうか、と思うほどに個人蔵の非公開作品が圧倒的に多く、少し残念なところです。このような状況がある中、比較的数を持っているのが、ホームのイングランドの美術館、ロンドンのテイト・ギャラリーやリヴァプールのLady Lever Art Galleryなどの幾つかの美術館です。ウォーターハウスはそんなに寡作な画家ではなく、作品は結構あるのにこの点は気になりますね。ヴィクトリアン・アートの展覧会を待つか、直接行くかしか選択肢はなく、このように、日本の美術館が(フランス美術などと比較したとき)イギリス美術に弱いのは一つの弱点ともいえます。

    直接は見れなくとも、作品を網羅した素晴らしいサイトがあります。
    http://www.johnwilliamwaterhouse.com/
    ここで、ほとんどの用は足りるといって過言ではないくらいですね。
    また、海外の出版社ですが複数の画集が手に入ります。
    やはり、エルネスト・エベールのときのように、直接の対面は至難なようですが希望は持ちたいと思います。
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