芸術、書籍、音楽などのレヴュー。あるいは随筆。 - Revue de l'art, le livre, la musique etc, ou essai.
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  • ルノワール展 国立新美術館
    印象派画家、ピエール=オーギュスト・ルノワールの回顧展です。
    オルセー美術館・オランジュリー美術館所蔵ということで、教科書級の折り紙付きの作品ばかりでした。
    ルノワールの個展は、2008年の「ルノワール+ルノワール展」(Bunkamura)、2010年の「ルノワール ―伝統と革新」(国立新美術館)と定期的に開催されていますが、本展は、ムーランドラギャレット、ダンスシリーズ、ピアノを弾く少女等が揃っていることで、この中でもクオリティ的には群を抜いている印象を受けます。これらに遡るマイベストの2001年の「ルノワール展」(ブリヂストン美術館)に比肩するものであったと感じました。

    個人的に注目する初期(1960年代~70年)、中期(1880年代)の作品についてはもちろん揃っていましたが、後期、晩期の作品も作品数があり、この点ではバランスよく画業を俯瞰する構成となっていました。また、肖像画以外の、風景画や静物画、デッサンもほどよく展示されていました。関連作品の展示もヴァリエーションがあって面白かったです。

    一般にルノワールと聞いてイメージされる作品の多くが、1870年後半から1885年くらいまでに描かれた作品ではないかと思いますが、やはりダンス連作など見ると、この時期の作品はデッサンと色のバランスや画面構成など細かく練られており、見ごたえがあります。特に、シュザンヌ・ヴァラドンをモデルにつかった「都会のダンス」は女性のラインとドレスを映えさせるために、男性を画面構成上の物体・道具として効果的に使っています(これは「田舎~」よりも明示的です)。また、「田舎~」と対置させることで、女性の性格やその場の雰囲気、物語性までも醸し出しています。このような面は、群像画でも発揮させており、「ムーランドラギャレット」や「船上の昼食」(本展には展示なし)などに結実しています。
    後期になると、タッチや画面構成などの趣きが変わり、デッサンよりも、肉体表現の量感や色彩に重要度がシフトしていきます。また、パリの都市性などが脱色された古典回帰のモチーフが増えていっており、この点も晩年の作品を語る上では見逃せないでしょう。ルーベンスなどに通じる、普遍的な価値としての裸婦や人体表現という意識がはっきりと見て取れます。上で言及したいわゆるルノワール画と違うので苦手とする方も多いのではないかと思いますが、ルノワールの多面性としての魅力になっていると思います。
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