芸術、書籍、音楽などのレヴュー。あるいは随筆。 - Revue de l'art, le livre, la musique etc, ou essai.
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    ザ・ビューティフル 三菱一号館美術館


    19世紀半ば以降にイギリスで興った唯美主義(aestheticism, 耽美主義とも)をテーマとする企画展です。
    本展は、国際巡回展をヴィクトリア・アンド・アルバート美術館の企画協力のもと再構成したもの、とのことで内容の詰まった展覧会になっていました。
    ちなみに、森アーツセンターギャラリーのラファエル前派展との連携もなされていました。

    この唯美主義の時期は、言うまでもなく、イギリスの絶頂期であるヴィクトリア朝に対応しており、さまざまな運動のもと、文化の成熟、大衆化が見られた時期です。
    構成としては、ラファエル前派、アーツ・アンド・クラフツ、ロイヤルアカデミー、ジャポニズム、世紀末美術など複数の切り口を分かりやすく提示しているものでした。
    平面作品以外にも陶器、家具など工芸作品も程よく並べられていました。

    個人的に注目したのが、アルバート・ムーアとオーブリー・ビアズリーです。
    ムーアはこの企画展の大きな見所であり、ラストも大作「真夏」によって締めくくられていました。
    遠め(もしくは印刷)で見ると、かなり手の入った写実性の高い作品と見えますが、実物を見て、意外にそのようなつくりはしていないことに驚きました。
    絵の具の塗りは薄く、衣装などは簡素なタッチで構成されていて、手の込んだ背景もそこまで細やかには仕上げられていません。
    こうしたところは、ワッツやレイトンらとは決定的に異なっている点です。
    ムーアは、デッサンの精確性を前提として、無駄のないタッチで華やかで明るい画面をつくり出している印象でした。ムーアの絵画をまとまって見るのは初めてでしたが、文脈のはっきりしない主題、象徴的な女性像など、まさに唯美主義を体現している画家だと思いました。
    ビアズリーの方は、よく知られたサロメの挿絵とペン画が数点ありました。着想、構成、線描どれをとっても天才という言葉しか浮かばないような出来栄えで感嘆するばかりでした。表現については好き嫌いはあるかとは思いますが、想像力と技術が高いレヴェルで一致する作品であることは疑いないです。

    レイトン、ワッツ、アルマ=タデマらの作品までフォローする展覧会はあまりないと思うので、ラファエル前派展同様、満足でした。今年はホイッスラー展も開催が決定しており、ヴィクトリア朝美術の展覧会が続くと、個人的には、ウォーターハウスなどの絵も日本で見られれば、と思ってしまいます。
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