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    『交換の社会学』
    『交換の社会学 G・C・ホーマンズの社会行動論』
    橋本茂
    世界思想社,2005

    社会的交換理論で知られる社会学者ホーマンズの理論解説書です。
    一般に流通する、日本語で読める唯一の解説書になっています。
    ということで、ホーマンズ理論に加え、社会交換理論を知るための概論としても貴重かと思います。
    ここら辺の事情はちょっと残念ですが、仕方ありません。

    本書は、だいたい、主著『社会行動』をなぞる構成となっており、社会交換理論の依拠する基本姿勢や枠組みを知ることができます。
    社会交換という視座は、かなりミクロ的というか、個人意識準拠の方法論的個人主義の要素が強いので、大きな社会学とは一線を画しています。
    一見すると、あまり社会学的ではない、ともいえるかと思います。それなので、正統的な社会学的見地からは、誤解や軽視が生まれやすいのかも知れません。
    まずホーマンズ社会学に向き合うには、ホーマンズが小集団を分析の基礎的な対象として捉え、その秩序化(安定化)の問題を扱ったということ、小集団に属するメンバーが持つ判断軸を主に心理学から適用していることに注意する必要があるでしょう。

    たとえば、マクロ的社会変動論が意味をなさないというわけでも、小集団理論のみでそれが説明可能であるともいっているわけではないのです。
    あくまで、権力、服従、同調、統合・結合、相互行為、攻撃、排斥、解散などなどの社会学的分析に値する行為は、個人個人がやりとりを行う小集団において発達するのであり、それらは社会的交換の視座で説明可能ということを提示しているのです。
    個人的には、小集団も社会的規範や道徳秩序にかなりの部分依存して構成されているので、ホーマンズ的な視座がマクロ的な要素を排除しているとは考えません。方法論の問題として分析概念の整理をしていくべきだと感じます。

    本書は、ホーマンズ社会学の社会学史的経緯、位置づけを概論する小論も収録されており、ホーマンズのたどった軌跡や理論的変遷を詳しく知ることもできます。
    やはり、先読みになろうが後読みになろうが邦訳文献あってこその解説書なので、絶版本が復刊されるなど、ホーマンズの著書にアクセスできる環境が整うといいなと感じます。

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