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  • ゲント美術館名品展 世田谷美術館


     世田谷美術館は、初めて行ったのですが、駅から歩くと遠いですね。
    しかし、周りが公園で、良いところにあります。

     さて、ベルギーのゲント美術館からの作品による展覧会です。
     構成は、新古典主義、ロマン主義、レアリスム、バルビゾン派、印象主義…とセクションを12にも分けて展示していますが、そうするとやはり作品数も125とかなりの数になっています。

     ベルギーの絵画が主ですが、影響を受けたフランスの絵画をも取り混ぜて、各主義の流れを追える構成は良いと思います。ダヴィッド、ドラクロワ、シャセリオー、クールベ、諸バルビゾン派画家などです。

     とにかく作品が多かったので、気になった作品を絞って書きたいと思います。
     まずレアリスムのセクションで、ヤン=フランス・ヴェルハスの「お絵かき上手」という作品が素晴らしかったです(上図)。長テーブルに、お絵かきしている一番幼い子を中心に、それを見守りながら子供たちが並んでいるという、とても和やかな場面です。子供の表情など愛らしく表現できていて、人物表現だけでも十分魅力的なのですが、単調にならない構図と、テーブルは人物が反射して映る、シャンデリアは金属らしく光る質感、人物はそれらとは対照的に抑えて描いて、肌のなめらかな質感を見事に表しています。さらにタッチも繊細なうちに結構大胆な感じもあったし。
     次はバルビゾン派のセクションに入って、ドービニーの「バルビゾンの月の出」が印象的でした。暗い森が大きな筆の、勢いのあるタッチで荒々しく表現されています。全体的に暗い中に大きなうねりがあって、不気味なようで、ある種の生命力みたいなのを読み取ることができるような不思議な作品。
     印象主義では、クザヴィエ・ド・コックという人の「羊がいる風景」が印象主義を上手く解釈しているなと思いました。
     そして興味深い作品が多かったのは、アンティミスムのところ。アルベイン・ヴァン・デン・アベーレの「シント=マルテンス=ラーテムの茂み」は、茂みを全体的にぼんやりと柔らかく描きながら、細かいところまで繊細に表現されている作品。実際に見ないと図版ではあまり分からないと思います。
     それと、エドワード・アトキンソン・ホーネルの「春の田園詩」。線的なタッチで葉や服などを描いていて独特な絵肌をつくっている中に、花が無数に散りばめられていて、とても装飾的、叙情的な作品です。
     さて、ベルギーといったら象徴派です。フェルナン・クノップフの「香」は、白黒の絵ですが、本当に陰影の付け方が上手い。細かすぎて、本当にパステル、木炭で描いているのか、というほどの画力。また、アンソールに関しては、彼の版画が集められている小部屋があって、雰囲気のある感じでした。彼もじっと見ると大変細かいんですよね。
     象徴派のセクションが終わると、表現主義、構成主義、シュルレアリスムと難しいところに入っていき、近代的な絵画の流れを戦後まで見ることができるようになっています。

     総括しますと、大作、秀作と呼べるものが多く、それと作品数もあってとても見ごたえある展覧会になっていると思います。今年はベルギーの画家の作品を見る機会が多く、ベルギーの近代絵画を知る良いきっかけになりました。
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