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  • リヒテンシュタイン 華麗なる侯爵家の秘宝 国立新美術館


    リヒテンシュタイン侯爵家のコレクションを紹介する展覧会です。
    ここ一年くらいの展覧会の中では、貴重さ、豪華さの点で群を抜いていると思います。時間をとってじっくりと鑑賞すべき展覧会です。

    リヒテンシュタイン家のコレクションは、ウィーンのリヒテンシュタイン美術館(「夏の離宮」)で今年まで一般公開されていたみたいですが、これが打ち切りとなっています。現状では予約して個別に見学ツアーを手配するような方式に移行してしまっているようなので、たとえウィーンに行っても一般コースで作品鑑賞することはできなくなっているわけです。ということで、この時機を得て日本でリヒテンシュタイン侯爵家コレクションが見られるということは本当に貴重な機会といえると思います。来日した作品も、こんなのを持ってくるのか、と感じてしまうほどの大作、逸品が多くあります。

    展示内容は、ルネサンス~ウィーンのビーダーマイヤー様式美術となっており、彫刻、タペストリー、家具、陶器その他調度品なども多く出品されています。

    まず最初の展示室では、フランチェスキーニの大きな連作が迎えてくれますが、17世紀の絵画とは思えないような、綺麗な発色、画面を見せていて驚きました。夏の離宮の装飾のために、直接画家に注文された作品のようです。
    続いて、夏の離宮のバロック様式を再現する「バロック・サロン」が待ち構えています。天井画までも展示されており、調度品もところ狭しと並べられています。まさに、圧巻、というよりかはない、優美で壮大な展示になっています。

    「バロック・サロン」の後には、コレクションのクオリティを示す、時代・様式ごとの名画ギャラリーが連なります。
    ここでは、ルーベンスの展示室が見どころとなっており、他の展覧会では見ることはないような大作が見事な額とともに掛けられています。もちろん大作は場面の広がりや迫力がありますが、その他の肖像なども劣らずに見応えがあり、「クララ・セレーナ・ルーベンスの肖像」、「ひげのある男」、またサテュロスを描いた作品など、豊かな人物表現を見ることができます。
    他では、クリスティファーノ・アッローリのユディト、ヴァン・ダイクの肖像画などが完成度のが高く、気に入りました。特に、アッローリのユディトの表現は、あおり気味のパース、ユディトの表情、お付きの老婆の姿勢など、構成として興味深い点がいくつもあり、印象深い作品となっています。

    個人的に発見となったのは、ビーダーマイヤー様式時代の絵画です。
    ビーダーマイヤー様式については、理解が足りておらず上手く説明できませんが、絵画においては、主題、作品構成、(写実性の高い)表現方法、作品スケールなどにそれが反映されていると考えればいいのでしょうか。
    とりわけ、フリードリヒ・フォン・アメリングの作品は、雰囲気まで醸し出すようなレヴェルの表現の高さに見入ってしまいました。明暗、微妙な表情、質感などの表現がぬかりなく画面に示されている感じがします。
    ヴァルトミュラーの絵画も緻密な表現がなされていますが、質・量感で見れば相対的に粗が見えてしまう感想すら持ちます。
    アメリングについては、今後も注目していきたい画家のひとりになりました。
    また、アメリングとも親交のあったイタリア人画家、フランチェスコ・アイエツの「復讐の誓い」も緊張感のある素晴らしい作品です。アイエツは、この作品のように人物表現に長けた作品を残しているようで、他の作品も見てみたい画家です。
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