芸術、書籍、音楽などのレヴュー。あるいは随筆。 - Revue de l'art, le livre, la musique etc, ou essai.
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  • 新書二つ
    「友だち地獄」 土井隆義 ちくま新書、2008
    「いじめの構造」 内藤 朝雄 講談社現代新書、2009

    最近読んだ新書で気になった二冊をさくっと取り上げます。
    社会学・社会心理学の観点から、現代の若者・子供の行為、心理構造を探ったものでインパクトの強い二冊だと思います。

    ***

    「友達~」の方は、現代の若者特有のメンタリティ・関係性としての「優しい関係」というタームを基軸に、若者社会の構造理解を試みるものです。
    現代を象徴する社会問題、文化・時代の比較論、コミュニケーション論などを通して、関心が深く身近に感じる問題を丁寧に読み説いている印象を受けます。
    「優しい関係」というのは何となくイメージがつくかと思いますが、「傷つきたくないし、傷つけたくもない」、という言葉にあるような、表層的に上手く関係維持するような社会状況の秩序、といえるでしょう。
    本書が良いのは、この関係性を支えるツールや社会的状況(一番のファクターはネット)をリアリティをもって分析・因果把握していることと、その欺瞞性・問題性の指摘に終始するのではなくあくまで社会学的に記述しようとしているところです。
    いろいろネット社会やサブカル的なものに焦点をあてた本が並んでいるのは見ますが、本書はネットがどのように若者やその関係構築に影響してきたのかを簡潔に知るにはまとまった新書だと思います。

    ***

    「いじめ~」は、これまた内容的には衝撃が強い本で、フィールドワークを綿密に行ってきた著者がまとめた具体例とその切れの良い分析が光る新書になっています。
    大人から見ればまったくグロテスクで理解不能ないじめの実態を、構造的に分割し理解していくということで、著者のオリジナリティある記述・タームでいじめの世界がモデル的に構築されています。
    個人的には、攻撃/破壊衝動・欲求というものには以前から興味をもってきたのですが、その攻撃衝動のようなものが、集合的に、社会的に構成される場面にも関心がありました。
    一面的には無邪気、、無垢性を持って語られる子供の世界ですが、それとはまったくかけ離れた社会的状況をも生み出す場にもなりえる、そしてそれは大人の世界同等の社会的構成を見せる、というのも目はそむけられない事実だと思います。このような触れにくい問題に、正面きって社会学的理解をしようとする新書であり、鋭い人間理解を提示するものになっていると感じました。
    ちょっと価値判断が強く出ている面と最後の提言のセクションは、内容的に稿を改めるべきというか、本書の性格的にも分析編を充実させて欲しいとも思いました。
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