芸術、書籍、音楽などのレヴュー。あるいは随筆。 - Revue de l'art, le livre, la musique etc, ou essai.
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  • ヴィジェ・ルブラン展 三菱一号館美術館


    王女マリー・アントワネットの寵愛を受けた宮廷画家として有名な、ヴィジェ・ルブランの展覧会に行ってきました。
    展覧会自体はルブラン展ということになっていますが、ルブラン単独の回顧展という装いではなく、18世紀中心の女流画家展といった感じになっています。美術史的に重要な作品や技術の高い作品ばかりというわけではないですが、コンセプトとしては貴重な機会・試みになっていると思います。

    そういうことで、展覧会は、敢えておおざっぱにいうと、ヴィジェ・ルブラン、ラビーユ=ギアール、アンヌ・ヴァライエ=コステルなど一流の女性画家の作品のほかは、資料・参考としての作品という側面が強いかな個人的には思います。ですがそれらによって、その時代の文化背景、ここでいえば、女性がどのように絵画と接し、また表現してきたのかの一端を見ることができます。それと、作品を見ることに加え、ヴィジェ・ルブランとラビーユ=ギアールの対照的な画業からも歴史・文化を探ることができると思います。

    ルブランは公式HPを見ると作品紹介がほとんどないので展示作品数はあんまりないと思って行きましたが、筆ののった秀作を含め数はそこそこあって(20点ほど)、ほっとしました。
    ルブランは、周知の通り、マリー・アントワネットに重用されて輝かしく画壇を上りつめたわけですが、フランス革命のちは外国への亡命を余儀なくされます。こうして、イタリア、オーストリア、ロシアと各国をまわり画業を続け、やっと革命政府崩壊後にパリへ戻ることができた、という遍歴の持ち主ですが、今回作品を見て、宮廷画家をおわれた後も訪問先の各地で歓迎を受け、ずっと良い環境で作品づくりができたのが大きいのかなと思いました。亡命後フランス国外でつくられた作品は、陰鬱に沈むようなことなく、いきいきとした人物表現が認められます。たとえば、フランスから亡命した画家というと、ダヴィッドやクールベなんかが他に思いつきますが、ルブランのような歓待と名声を受けることはなく死去してしまったことも考えるとなおさらです。

    有名作「自画像」はウフィツィ美術館展にて展示されたものの別ヴァージョンが展示されています。こちらの作品は、塗り・タッチが全体的に固めでウフィツィの方が良いと感じました。40代で描かれたエルミタージュ所蔵の自画像の方は、筆がのっていて画家としての成熟を見ることのできる作品だと思います。
    ルブランの作品を見渡すと、固めのものから、タッチを生かした伸びやかもの、筆致をあまり出さずふんわりと仕上げたもの、などいくつか描き方がことなる作品を見ることができます。同じような人物画でも仕上げ方で全然趣が変わってくるのも面白いと思いました。個人的には、ウフィツィ自画像や、「ポリニャック侯爵夫人の肖像」(上図)のようなやわらかめのタッチの作品が好みです。
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