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    『ジェレミーと灰色のドラゴン』


    『ジェレミーと灰色のドラゴン』
    アンゲラ・ゾマー・ボーデンブルク 著
    小学館,2007

    ちびっこ吸血鬼の作者の新作長編ファンタジーということで、手に取ってみた作品です。
    このブログでは同作者の「ちびっこ吸血鬼」や「ティモと沼の精」を紹介してきましたが、今作は、ずっと流行りな設定を取り入れており、ファンタジー色の強い冒険ものに仕上がっています。

    物語は、主人公ジェレミー・ゴールデンが、使者フィンレーの要請によって、色彩が失われ全てが灰色の国・グレーランドに、再び色を取り戻すべく奮闘する、という流れで進んでいきます。設定は簡単にいえば、実生活に問題をかかえ上手くいっていない少年が、ある日突然ファンタジー世界に誘われ、そこでの困難を乗り越え成長していく、という定型をとっており、若干ありきたりでご都合主義的な面はありますが、落ち着いて物語の世界観を楽しめるかたちにはなっていると思います。
    グレーランドと、そこに住む謎の少女アイヴィー、そして最後に辿り着くスカイシティの歴史、と物語が進むにつれて、色の失われた理由が回収されていくのはうまくできているし、精神世界や象徴として伏線が収斂されていくのかと思いきや(子供をさらう「白い恐怖」とか出てきたときは…)、きちんと結末を明示的に描いている点は面白いと思います。それなので、最後は(「ちびっこ吸血鬼」と同じく思い入れのある)「ふしぎの海のナディア」と重ねて読んでしまったりもしました。ガーゴイルや王家血統に似た設定が…。
    ということで、個人的には、「はいいろの国のジェレミー」でしたね(実際ドラゴンはサブキーですし)。

    ファンタジー世界のつくりこみは結構面白いものがいくつもあるんですが、如何せん、回収しきれていないものがあるので(1章がさかれているノーマンズランドやその他動物系のキャラクターなど)、上手く膨らまして上下巻にするか、瑣末的なのは端折って主線を充実してほしかった感は残りました。
    あと気になったのが、登場人物があっさり死んでしまう描写が多いことです。しかも主人公がその死に直接関係していたりします。あんなに多くの吸血鬼が登場しながら死人一人でなかった「ちびっこ吸血鬼」とは打って変わったシリアスさはちょっと驚きでした。

    挿絵はぺテル・ウルナールというスロヴァキアの画家によるものです。ファンタジー、それもグレーランドという設定にかなりマッチした独特の絵でかなりいいと思います。
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