芸術、書籍、音楽などのレヴュー。あるいは随筆。 - Revue de l'art, le livre, la musique etc, ou essai.
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  • ジンメル・コレクション  ゲオルク・ジンメル


    ジンメルの新編・新訳の小論文集(ちくま学芸文庫、北川東子編訳)。
     
    まず、著者、ジンメルの紹介から。
    ジンメルと聞いても、社会学やその他社会科学を勉強していない人にとっては、(また少しかじっている人にとっても、)なじみの薄い人と思います。簡単には、社会学成立期のドイツの代表的な社会学者といえるでしょう。しかし、ジンメルは異色の社会学者です。彼の作業は社会学だけではなく、哲学、美学まで及ぶ多彩なものです。
    こういった、一口では語れないジンメルの姿を映すのが、このジンメル・コレクションです。

    社会学とか何とかの分類は、この際考えずに読んでもらえるアンソロジーに仕上がってます。特に、このコレクションは、エッセイ、それも美学や文化に関わるものが多いです。
    そこでテーマとされるのが、女性、売春、額縁、取っ手、ヴェネツィア、肖像画、俳優…。なんとも学問的というより、身近な問題にあふれていることです。今読んでも、考えさせるものがあります。
    あまり一つ一つについて書いても仕方がないので、これは読んでもらうことにまかせますが、僕のお気に入りを挙げると、「いなかる意味でも文学者ではなく」。たった5ページの文章ですが、何か後味の残るメッセージがあります。これだけでもいいので、立ち読みでも読む価値があるのでは。表題が語るとおり、文学者という態度を拒否するものですが、この作品自体が、一つの文学として読むことができます。

    導入としてジンメルを読みたい人、社会学や美学的なものに興味がある人、などには最適な作品です。また、複数の教授から良訳であると聞いています。気に入ったところを読むだけで、全部読む必要もないし。とにかく、古典の位置を占めますが、それに収まらない作品であることは請合います。
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    ジンメル・コレクションジンメルの視点はとても鋭い。瓶の取っ手の合目的性と美の調和橋における「分離」と「結合」扉の「閉鎖性」と「開放性」両義的である生の本質を、こういう日常への注目から捉えていく。どれもはっとさせられてしまう。日常に触れるものは、....
    2005/09/18(日) 17:51:15 | 孤独な散歩者の大学生の夢想