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  • オルセー美術館展2010「ポスト印象派」 国立新美術館
    もう展覧会が終わって結構経ちますが、振り返りということで書きます。

    テーマは表題のとおり「ポスト印象派」ということですが、狭義のもの、つまりゴッホやゴーガン、セザンヌらの作品を集めただけのものではなく、広く印象派につづく革新的な絵画運動を取り上げるものとなっています。
    よく、ポスト印象派は、後期印象派と誤訳されてきましたが、そうではなく「印象派以後」のさまざまな絵画潮流を内包しているものとして理解しなければなりません。そういう意味で、今展は、19~20世紀フランスに、バルビゾン派・リアリスム―印象派という流れの後、どのような動きがあったのかを整理して見るのには格好の機会だと思います。

    展覧会は、ゴッホやセザンヌということからなのか、かなりの賑わいを見せていました。点描やナビ派などの作品も多く集まる中、これだけの集客力は驚きでした。
    おそらく、オルセーっていうことが先に立つのでしょうが、そのオルセーという部分で質の高い作品を見ることができるというのも確かに大きな魅力になっています。

    印象に残っているのは、スーラ作品と、「内面への眼差し」のセクション、そしてヴュイヤールの装飾画です。

    スーラは、有名な「グランド・ジャット島~」「ポーズする女たち」の習作が見ることができます。双方ともに、完成作は等身大の人物を配す大作ですが、習作はかなり小ぶりな作品であり、「グランド・ジャット島~」の方は点描の統一感がなかったりします。逆に、「ポーズ~」は三人の裸婦が完成型に近い形で構成されています。
    迷いなく仕上げられたような完成作には、途方もない作業が費やされているわけですが、その下の習作の一部がどのようなものであるのかを知るのは面白いと思います。点描の絵肌は特にデリケートだし、大規模な描きなおしなどはきかないはずなので。
    「内面への眼差し」と名付けられた章は、ポスト印象派に加えて、象徴主義と一般的に呼ばれる作品が占める章になっています。象徴主義は作風としては、ポスト印象派とは異なっていますが、シャヴァンヌやモロー、ルドンが彼ら与えた影響や彼らとの交流は知られるところです。ハンマースホイもあったりと、気をきかせたハイセンスなセクションだと思いました。
    展覧会も出口にさしかかるところのヴュイヤールの装飾パネル群には圧倒されます。技法は膠をつかったフレスコの一種だそうで、この質感に、全体的なダルトーンがマッチしているし、公園の広がりや人物の関係性などが上手く表わされていて、妙に落ち着いた気分になれる絵だと思いました。
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