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  • 魔女の宅急便 完結
    このブログで扱ってきた作品の一つである『魔女の宅急便』シリーズですが、完結巻の6巻が刊行されました。
    長いシリーズが終結を迎えたということなので、軽く触れておきたいと思います。
    以下内容に直に言及しますので、読了されていない方は注意してください。

    前エントリ
    「魔女の宅急便 その5」
    物語の舞台はかなり進んでおり、キキは双子の子供を育てる母親になっています。
    これまで一貫して描かれてきた、思春期の複雑な感情に揺らぐ少女の姿はもうありません。
    キキは、子供の成長を心配しながら見守る一人の母親であり、物語の中心からは離れているようです。

    最終巻では、魔女の家に生まれた、双子の男女の独り立ちが、キキの独り立ちを軽くなぞるようなかたちで焦点化されていきます。
    双子は、当世風に描かれ、現代に通じるキャラクタライズがされていて、彼らに手を焼くキキはまぎれもなく、大人であり母親として、主役を導く側に立っています。
    …ということで、キキの魔女の宅急便を軸とした物語は、5巻までで完結しているといっていいと思います。
    6巻の物語は、いうなれば第二世代編であり、キキの物語としてシリーズを見るなら(よしあしの問題ではなく)後日談・番外編というような位置づけであると感じます。
    もちろん、見えないもの・世界、子供に特徴的な心理(世界)を描くテーマは変わっていないですし、その意味では完結巻となるような示唆も含まれています。
    ただ、繰り返すようになりますが、主人公(キキ・ジジ)・語り視点は、子供の進む道を案内する大人のものであるので、ここの点が今までの性格とは異なっていて、児童文学的にはリフレキシブには読めないのではないかと思いました。主人公である母親のもとに、異性で性格が反対の双子がいる、ということで、双子の存在が何か類型的なものに感じられて、個人的には、双子(重きは明らかに息子のトトに置かれていますね)視点には立ちにくく思われました。

    キキの思いがどう受け継がれていくのか、子供たちはそれをどのように受け止めてこれからを生きていくのか、魔女というひとつの(見えないものを映す)伝統はどのように変わっていくのか・あるのか、といったことが物語を形作っていきます。
    キキの物語の完結巻ではなく、「魔女の宅急便」世界の完結巻として読める本だと思います。

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