芸術、書籍、音楽などのレヴュー。あるいは随筆。 - Revue de l'art, le livre, la musique etc, ou essai.
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  • 語りかける風景 Bunkamura ザ・ミュージアム


    ストラスブール美術館のコレクションを紹介する展覧会です。東京展は終了してしまいますが、これから11月末までかけて石川、岐阜、秋田と巡回するようです。
    作品は19世紀以降の絵画がメインで、表題のとおり風景画のコンセプトが1章から6章まで通して示されています。

    例のとおり、気になった数点をレヴューします。

    ■モーリス・エリオ「年老いた人々」
    エリオはカバネルのもとで学んだ画家とのことです。写実性を保ちながら無理なく点・線描で描いていく、という手法はレイセルベルヘやモルベッリらの絵画があり、個人的には注目の画風です。この時期、イタリアやベルギー、フランスなど各地にレヴェルの高い点描的絵画が生まれていたというのも驚きです。あまりそれぞれの画家のつながりが詳しく分からないというのが残念ではあります。
    さて本作は、老夫婦を前景に座らせ、後景に明るく輝いた田畑の広がりを見せています。老人の後ろの、ピンクの服を着た後姿の少女が、色彩・構図・対象の面で、老夫婦との対比を見せており、また背景の田畑の広がりを強調してもいます。老人の血管まで浮かび上がらせるような表現なども素晴らしいですが、配置・構成の面で大画面をうまく活かした仕事をしており、今展の目玉だと思いました。この作品のはがきが売っていたんですが、作品をはがき全体に載せようとして、作品の端を切り詰める格好になってしまっており、素晴らしい構図の台無し加減に落胆しました。

    ■アンリ・ジュベール「ジェノヴァ港の入口」
    あやしい雲行きの中、打ち寄せる波を上手く表現した作品です。正直、大気の表現はそれほど質感を捉えていませんが、波に関しては、質・量感、色彩がリアルに表現されていて、生々しい海を画面に認めることができます。ジュベールは、この他にも牧羊の様子を描いたダイナミックな構図の風景画が展示されています。

    ■テオドール・ルソー「木の幹の習作」
    エチュード(習作)となっていますが、伐採されて転がる幹の完成度はかなりのものがあります。バルビゾン派のレンジの広い風景画ばかり見ていると、こういう作品にはより引き込まれてしまいます。
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