芸術、書籍、音楽などのレヴュー。あるいは随筆。 - Revue de l'art, le livre, la musique etc, ou essai.
  • calendrier
  • ロートレック・コネクション Bunkamura ザ・ミュージアム


    アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレックの展覧会が渋谷でやっている、という認識しか事前にはありませんでしたが、「ロートレック・コネクション」というタイトル通り、ロートレック個人の回顧展というものに終わらない、幅・内容のある構成になっており、予想以上に満足のいく展覧会でした。
    今展は、画学生時代からモンマルトルで活躍した時代の、師や親交があった画家、影響を受けた画家の作品を交え、ロートレックの芸術を探る上での交友関係や芸術様式を示すことが主題として扱われています。もちろん、ロートレック自身の作品も、油彩、リトグラフの双方でヴァラエティに富んだ展示内容になっており、彼の画業をきちんと俯瞰できるようになっています。
    ロートレック美術館館長の企画構成ということですが、展示内容としては川崎市市民ミュージアムの役割が大きいのかなと思いました。


    ロートレックの作品は、浮世絵の影響という文脈がありますが、「ムーラン・ルージュのラ・グリュ(1891)」、「ジャヌ・アヴリル(1893)」などは、前景に大胆に人・ものを配し、強制的な遠近法で見る者を引き付けることに成功している作品です。ポスターだから許されるラインを果敢に攻めているような気がします。特に「ムーラン・ルージュのラ・グリュ(1891)」の方は、前景で踊る男性もシルエットとして扱い、中央女性にスポットをあてるところなど面白く昇華されているなあと思いました。
    また、図像を並列的に構成してテンポをつくっている作品は、よりポスターとしてまとまっていると感じました。作品として挙げると「エグランティーヌ嬢一座(1896)」や「シンプソンのチェーン(1896)」などは、そのような画面構成になっています。
    動的なもの、静的なもの、どちらも上手く構図をつくって、人間味のあるキャラクターで作品を魅せることにロートレックの良さがあると思いました。

    その他のポスター作家は、スタンランやジュール・シェレが挙げられています。それとミュシャのリトグラフもありました。ロートレックの先輩になる、シェレの作品は、色鮮やかさ、人物の躍動感で目に留まるものが多かったです。簡潔な線で構成される、戯画的でダイナミックな人物群、それでいてうるさくならないまとまった構成、となかなか考え抜かれてつくられてるように見受けられました。

    こういった企画は、その画家、芸術潮流の理解にうってつけだと思うし、陰に隠れてしまいがちな画家にも日が当たるということで、ちょこちょこと出てきてくれたらいいなと思います。
    スポンサーサイト
    コメント
    この記事へのコメント
    コメントを投稿する
    URL:
    Comment:
    Pass:
    秘密: 管理者にだけ表示を許可する
     
    トラックバック
    この記事のトラックバックURL
    この記事へのトラックバック