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  • ベルギー近代絵画の歩み 損保ジャパン東郷青児美術館


    ベルギー王立美術館のコレクションを展示する美術展です。
    東京では文化村の展覧会と、ベルギー美術を紹介する企画が重なっています。
    比較するところではないでしょうが、本展は題名の通り、展示の幅があるのでベルギー美術を広く見たい、ヨーロッパ近代美術の流れを知りたいという人にはよりニーズのあうものだったと思います。
    何気に4月から山梨、鳥取と巡回してきて、東京展は3会場目になります。初日にいってきましたが、それほど混雑はなくゆったり見られました。
    以下、興味を持った画家を若干ピックアップしておきます。


    ◆イッポリート・ブーランジェ  ブーランジェは風景画に意欲的に取り組んだ、ベルギーでも特異な画家であるようです。風景画の大作が3点あります。タッチを活かした重厚感ある作風です。「洪水」は荒々しいタッチで風景を上手く表現しています。水のクリアな表現が素晴らしく、すべてを包み込む洪水の様子が伝わってきます。

    ◆テオドール・ルソー ベルギーにおけるバルビゾン派の普及・受容という観点で、ルソーやコローの作品が展示されていました。ルソーの「森のはずれ」「ベルヴューのテラスからみたパリ」はいずれも夕暮れの風景が描かれ、逆光に沈む暗い大地、木々が広がる作品です。特に後者は神々しさを感じさせる作品といってもよく、複雑な空、アクセントとなる川などの表現に目が行きます。

    ◆イジドール・ヴェルヘイデン 「春の果樹園」「死んだ鹿」「昼食」の3点があります。「朝食」を見たときには、その他2点と同じ画家だとは思いませんでした。「昼食」は晩年の作品であり、新たな表現を見せる作品と解説されています。作風の変遷は細かくは知る由もないですが、「昼食」はそれまでの厚くべったりとしたタッチではなく、細やかに優しく表現された作品です。花、銀器などは特に雰囲気がありますね。

    ◆ジェニー・モンティニー 子供を多く主題としたようで、この作品も数十人もの子供が描かれた作品となっています。子供の構成の仕方やタッチ・絵肌が特徴的ですが、かなり微妙な色調を上手く操っているところが素晴らしいと思いました。

    ◆ギヨーム・ヴォーゲルス 色彩感覚とナイフでの表現が注目される画家。作品は風景画ですが心象的な雰囲気があり、強烈なインパクトを持ち合わせています。

    ◆アルベルト・バールツン 「ゲントの夜」と題された夜の運河の情景を描いた大作が展示されています。絵具を幾重にも重ねた重厚な絵肌と微妙な色彩表現、遠近感を自然に出す構図、光が浮かび湖面に反射する幻想的な情感、と素晴らしいポイントが沢山あります。個人的には本展で一番に推したい作品です。

    ◆テオフィル・ファン・レイセルベルヘ 以前に行ったベルギー王立美術館展で作品を見てから注目している画家ですが、今回は細やかな肖像画と、大きめの集団肖像画の2点がありました。後者の「散歩」(上図)と題される作品は、大きめのキャンバスということで、タッチも大振りになってますが、タッチが変わることによる雰囲気や人物構成の変化という点をもう一点と比較すると面白く鑑賞できると思います。また統一された色調を画面に点描で広げており美しいです。レイセルベルヘは新印象主義の影響から点描を始めますが、後年にはこの様式を放棄したとのことで、点描以前と、以後の作品というものが個人的に非常に気になっています。

    ◆エミール・クラウス イギリスで制作された「テムズ川の光の反射」シリーズ4点があります。色数はかなり抑えられており、光や大気や、それによって変化を表す水面の表現に関心が示されています。「ロンドン、テムズ川の実習船」なんかは、背景の蜃気楼のような表現をつくっている弱い縦のタッチと、前面のしっかりとした川の光の反射を表すタッチの呼応が面白いかなと思いました。
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