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  • ベルギー幻想美術館 Bunkamura ザ・ミュージアム


    「ベルギー幻想美術館」と題して、姫路市立美術館のベルギー美術コレクションを一同に紹介する展覧会です。姫路市がベルギー・シャルルロワ市と姉妹都市関係にあるということで、同美術館は開館以来ベルギー美術を収集してきたとの説明がありましたが、確かに、地方美術館がこれだけのクオリティの作品を持っているというのは驚きです。

    コレクションはしっかりと芯の通ったものとなっており、ロップス、マルグリット、デルヴォーと画家ごとに体系的に作品を見ることができると思います。特に、象徴主義以降の展示は、マルグリット&デルヴォーのシュルレアリスム展というような装いになっていました。

    全作品の3分の1をしめるフェリシアン・ロップス、ジェームズ・アンソールの版画類は、シリーズを一覧できるというのはありますが多分にマニアックな感がするので、第1章の象徴主義の作品群とデルヴォー、マルグリットの奇抜な作品に触れるというのが、一般的な本展覧会の楽しみ方になるのでしょうか。アンソールは近年注目が集まっている画家ではありますね。

    1章はデルヴィルやクノップフの幻想性に脈打つ、かなりの繊細な表現力を見る章になると思います。デルヴィルは夫人の肖像を見れば瞭然ですし、クノップフは小品ながら存在感抜群の「聖ヨハネ施寮院」(上図)が注目されます。正直パステルやチョーク類でこの表現力は絶句します。
    あとは、自然主義、写実主義とは別のキリスト教神秘主義の側面を見せる、レオン・フレデリックの祭壇画(形式の作品)。解説に猟奇的というような形容がされていましたがなるほどと思いました。このような神秘主義や古典に走る象徴主義画家はパステル調の色や多色を上手く画面に配していますね。この展覧会でいえば、デルヴィルの「レテ河の水を飲むダンテ」もピンクと薄緑を大胆にかつ耽美的に画面に散らしています。

    4、5章のシュルレアリスムは異世界を楽しむような感じで覗いてきました。
    デルヴォーは、線の力強さと色彩や裸体の柔らかさが重なった版画作品が良いと思いました。クロード・スパーク『鏡の国』のための連作《最後の美しい日々》シリーズは特に気に入りました。


    新宿のベルギー展と比較するべきではないですが、やはり国内の一美術館の所蔵作品展であるので、19、20世紀ベルギー美術を見るというより、ひとつのコレクションを見るという側面を感じさせる展覧会ではあると思います。
    そういうことで巡回展ですが展覧会独自作成の図録もないようでした。
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