芸術、書籍、音楽などのレヴュー。あるいは随筆。 - Revue de l'art, le livre, la musique etc, ou essai.
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  • アンドリュー・ワイエス 創造への道程 Bunkamura ザ・ミュージアム


    待ちにまったアンドリュー・ワイエスの個展。
    東京展は会期終了となりますが、続いて、愛知、福島をまわる巡回展となります。
    なかなか手をつけられなくて遅れてしまいましたが、簡単に感想を書いてみたいと思います。

    初期作品が見られる第1章:自画像と、主要な制作場所で分けられた第2章:メイン州、第3章ペンシルヴァニア州、の3章構成です。出品作品は、ワイエス家と丸沼芸術の森、福島県立美術館所蔵のものがほとんどです。欲をいえば海外にある作品も引っ張ってきて欲しかったところですが、自分自身がワイエスの作品にじかに触れる機会がなかったので満足でした。
    ◆オイル・ランプ:明暗、光の表現がおし出されている、展覧会の中でも目を引く大作です。モデルとランプを明細に描いた習作が見られるのも良いです。完成作を見ると、ランプの存在感が増していて、モデルの塗りこみは抑えられている印象さえあります(特に耳など影の部分)。精神性を感じさせる、味わいのある絵だと思います。

    ◆カモメの案山子:構図や色彩の美しさを表現するというよりも、画家の対象への興味がまず感じ取れる作品だと思います。いくつかヴァージョンがありますが、深い緑と茶の大地と、カモメの白の対比が面白いです。

    ◆ガニング・ロックス:習作がいくつかありますが、完成作では、ほぼ顔・表情だけに関心がいっており、その表現はとてつもなく素晴らしいです。

    ◆火打ち石:習作が2点展示されていますが(蟹をメインとしたものもいれれば3点)、本作よりも習作の方が、力強さを感じさせます。石の上に白く輝くのは、鳥の糞ですが、ハイライトをあびて神々しくも見えます。岩ひとつをこれだけ表情豊かに、存在感を示して描けるのはすごいです。

    ◆そよ風:何もない静寂の中に、そよ風が流れる。生命感あふれる裸体とある意味無機質的でわびしい空間との対比。

    ◆野に置かれた義手:白い倒木の木目だけ見ても、圧倒的な力量が分かる作品です。こんなに綺麗に過たず線を重ねられるというのは驚嘆です。「のこぎりを引く音」という、同じような構成の絵がありますが、こちらは、絵具ののせ方や筆のかすれで上手く丸木を表現しています。

    ◆747:まとめられたいくつかの習作があり、習作から完成作への道のりが良く見えてくる主題です。習作は、家の壁に木の陰が映っているように、全体的に暗い感じがする絵ですが、完成作では、木の陰は消え、空は青空になり、全体的に明るくなっています。前面の青の服は、クリーム色に変わり、青は開け放たれた家の窓に焦点化されています。
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