芸術、書籍、音楽などのレヴュー。あるいは随筆。 - Revue de l'art, le livre, la musique etc, ou essai.
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  • 『名画を読み解くアトリビュート』


    木村三郎『名画を読み解くアトリビュート』  淡交社,2002

    西洋絵画を見る上で必要となってくる、アトリビュート(持物)を分かり易く解説し、基本となるアトリビュートの小事典や読書案内等を添付した良書。冒頭では、ヴィーナスには薔薇、マリアには百合、という例を用いてアトリビュートやそれを読み解く図像学(イコノグラフィ)を説明しています。
    神話やキリスト教の題材が主たる西洋絵画において、約束事になっているアトリビュートを知って絵を見るか、見ないかということは、やはりその絵にどこまでアプローチできるかに差が出てきます。ただの女の人の絵として理解されていたものが、誰々を描いた絵で、この人にはこういうストーリーがあり、この場面を描いた絵だ、という風に、アトリビュートは絵を読み解く手段を与えてくれるのです。絵というのは、それなりの意味が付与されているものであるし、それをまず知って作品の背景や作者の意図を探るのが、絵を見る、ということだと思います。近代では、象徴派などのように、それが明示的なものではなくなって、内面的、個別的なものになってきますが、ルネサンスなどでは、明確にこれは、誰のアトリビュート、というものが決まっていて、その約束事の中で、画家は、受胎告知や放蕩息子などの題材で、独自のヴァリエーションを構築するわけです。
    そういうことで、58ものアトリビュートを解説した小事典を載せた本書は、日本ではあまりなじみのない神話画や宗教画をより深く楽しむには、格好の入門書だと思います。
    僕も美術史のゼミで、デューラーのメランコリアを少々勉強しましたが、この本でもデューラーは多く使われていて、デューラー作品のさまざまなアトリビュートが例に示されています。分量もそこそこで、インデックス化されているので、読みやすく、いろいろな知識が知れて面白いです。
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