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  • ルドンの黒 Les noirs de Redon Bunkamura ザ・ミュージアム


    フランス象徴主義に属する画家、オディロン・ルドンの展覧会です。
    今回は、ルドンというとまず想起される、神話や花卉を主題としたきらびやかな一連のパステル画ではなく、画家のキャリアの大部分を占めるモノグラフの作品を見せる展覧会です。
    ルドンの「黒」とは、フランス語で複数になっているように、木炭画やリトグラフなどの黒の単色で仕上げられた作品群を指します。
    ルドン日本一を誇る、岐阜県美術館の収蔵品によって構成されています。

    ルドンが出版したリトグラフ集のほぼ全て(数点欠いているという意味で)を網羅しているだけあって、それらを一回で見られる貴重な機会であり、かなりの作品数に圧倒されます。展示空間も工夫されており、心地よく見られました。いつも行っているような展覧会と比べれば、異様ともいえる空間でしたが。
    名前を知らなかった、知っていても作品を見ていなかったリトグラフが多く、個人的にはとても勉強になりました。2001年に群馬県で開かれたルドン展でも、いくつかのリトグラフを見たことがあります(因みに、かなり開きがあるにせよ、岐阜県美術館に次ぐコレクションは群馬県立近代美術館ではないでしょうか…?)。まとまってルドンの黒を見るのは、それ以来だったので新鮮な気分で見られました。

    展示されているリトグラフ、銅版画集は、『夢の中で』『エドガー・ポーに』『起源』『ゴヤ頌』『夜』『陪審員』『聖アントワーヌの誘惑 第一~三集』『夢想』『悪の華』『幽霊屋敷』『聖ヨハネ黙示録』。リトグラフの支持体として表記されている「シーヌ・アプリケ」とは、「洋紙に中国紙を貼付した紙」とのことです。
    リトグラフ集といっても、シリーズごとに線や印象が統一されているということでもなく、それぞれ一枚一枚の独特の雰囲気が不気味さと魅力を持っていると感じます。

    その他の展示品では、銅版画家ブレダン(ブレスダン)のもとで作成したエッチングがあります。初めて見るものですが、最初期のものとあって力がこもっている印象。
    また、制作の裏で、ボルドーなどで描かれた風景画の油彩小品もあります。オルセーで見たものよりも、細やかに描かれており好感を持ちました。特に「薔薇色の岩」は、ペインティングナイフで綺麗に岩の質感が仕上げられていて、油絵での力量を感じさせる絵です。

    また、とりわけ注目されるのが、2点のカラーリトグラフ作品。ともに1897年の作品ですが、黒から色彩への転換を見る直接的な作品ですので、このような作例はもっと見たいです。

    最後になりましたが、ルドンの世界観をいくつかの作品を統一させることで表現した映像作品も上映されています。これもすごく奇妙で面白く、完成度の高いものだと思います。
    ラヴェルのピアノ三重奏が使われていました。

    巡回展はなく、東京展は今週で終わりです。
    いささかマニアックな展覧会だとは思いますが、作品、展示空間ともに新鮮で、渋谷の喧騒から逃れ、ルドンの独特の世界観に浸れます。
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