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  • オランジュリー美術館 Musée de l'Orangerie


    1852年に建設されたチュイルリー公園内のオレンジ温室を、クロード・モネの「睡蓮」を展示するため整備し、画家の死後の1927年に美術館として公開。
    モネの「睡蓮」を展示する地上階と、ジャン・ヴァルテール-ポール・ギヨームコレクションを展示する地階に分かれています。
    6年という長期間の改修が終わり、綺麗で明るい美術館になっています。
    以下、作品紹介に移ります。作品の邦訳タイトルは、オランジュリー美術館の邦訳図録に基本的に拠ります。
    地上階は、モネの睡蓮のためのものであり、二つの展示室に分かれています。
    やはり実際に入ってみると、連作の存在感と調和に圧倒されます。
    引き伸ばすと相当な長さになる大きな画面ですが、それぞれが単調に陥ることなく、さまざまな睡蓮の姿を描いていることが見えてきます。見飽きない、色調と明暗のヴァリエーション(!)。
    確かに、ここは落ち着いて眺めたい気分になります。見学を、団体は午前、個人は午後と分けてあるのも、この睡蓮の間をゆっくり見るためには良いと思います。

    地階のジャン・ヴァルテール-ポール・ギヨームコレクションは、印象派、ポスト印象派エコール・ド・パリの画家の質の高いコレクションとなっています。
    特に、ルノワール、セザンヌ、ローランサンなどは見ごたえ十分。

    ルノワールは、20点以上も展示しており、パリではオルセーに次ぐものだと思います。
    肖像、裸婦、風景、静物(花、果実)と彼の主要な画題の作品がそろっています。
    国家買い上げとなった代表作「ピアノに寄る少女たち」のひとつのヴァージョンがあります。このモチーフでは、6作品が確認されているそうで、オランジュリー美術館の作品は、オルセーにある完成作のエスキースのようですが(それぞれの年代順ははっきりしないそうです)、中心に向かうタッチ、水彩画のような淡い色使いがかえって、独特の絵の雰囲気をつくっています。
    ピアノと女性を描いた作品では、「ピアノの前のイヴォンヌとクリスティーヌ・ルロル」があります。高校の音楽の教科書の表紙で見た絵なので、知っている方も多いはず。この二つの絵では、二人の女性の重なりが構図的な問題として画家を捉えていたと思います。背後の女性が全体をおおうような、画面の調和を与えていると思います。
    裸婦では「風景の中の裸婦」(1883)、「髪長き水浴の乙女」(1895頃)と、中期の良く仕上げられたものがあります。








    セザンヌでは、有名なリンゴを描いた絵や、風景画といったメインの主題の他、人物画もいくつか見られます。

    ローランサンは、画面に犬を配す作品がほとんどで、「ポール・ギヨーム夫人の肖像」「女たちと犬」といった、灰色、ピンクの対比を強く見せる作品が良かったです。
    「女たちと犬」は、額が鏡でつくられたもので、初めて見たので驚きましたが、灰色の中間色を上手く使うローランサンの作品と違和感を覚えさせません。

    この間大量に作品を見たばかりのユトリロですが、白の時代の秀作が結構ありました。やはり、白壁をダイナミックに扱い、独特のマチエールに引き込まれる「白の時代」の作品は、人物と建物のデッサンの乖離や色調の不自然さに頭を抱えることになる「色彩の時代」の作品と異なり、作品そのものに没頭できます。

    その他では、ルソー、モディリアーニ、マティス、ピカソ(具象メイン)、ドラン、スーティンがそろっていました。
    特にドランの充実ぶりが注目されます。
    個人的に、スーティンの作品をまとまって見た最初の機会でしたが、まだその感性を楽しむのには早すぎたようです…。

    個人見学は基本的に19時までやっていて、午後しばらくは混んでいるようですが、遅くなるとゆっくり鑑賞できるのではないかと思います。
    個人コレクションということでコンセプトが通っていて、特に印象派、ポスト印象派好きは是非見ておきたいコレクションだと思います。
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