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  • プティ・パレ Petit Palais


    1900年のパリ万博の際に、フランス美術作品の展示会場として建てられた建物で、現在は、19世紀絵画やフランドル絵画などを展示する美術館になっています。前に行った時は改装中で、2005年12月に再オープンしたところなので、内外装とも、とても綺麗でした。

    展示室は、入り口、左から入って、「パリ1900」「19世紀」「18世紀」「17世紀」「ルネサンス」「古代」「西洋キリスト教世界」「東洋キリスト教世界」と、1階と地階にわたって続いています。1900年万博からスタートしたプティ・パレということで、展示室の順路は、「パリ1900」から時代を遡っていくようになっています。時代順に追って見たい方は、地階から見ればオーケーだと思います。
    近代絵画で有名なプティ・パレですが、このように古代から20世紀までの美術を扱っているのは驚きです。
    以下、絵画がメインとして扱われている「17世紀」まで、簡単に作品紹介をします。


    ■「パリ1900」
    ジョルジュ・クレランの怪しく、力強い「サラ・ベルナールの肖像」が迎えてくれます。
    続いて、ミュージアム・ショップの展示室に行くと、カリエールの4枚の大作「Les Ages de la vie」(下図)がそびえています。これほどまでに大きいカリエールの絵は初めてで、壁の上の方ではなく、もっと正面を捉えて見たい気持ちになります。
    さらに離れた「セザンヌと現代性」の展示室では、貸出か何かの理由か、セザンヌの作品はありませんでしたが、モーリス・ドニ「フィレンツェの晩(soir florentin)」の二枚の連作(la Cantate、Baigneuses)が見ごたえがあります。
    地階の展示室では、ヴュイヤールの「親密(L’intimité)」の4枚の連作が目を引きます。音楽、読書、仕事などの場面を描いたものですが、背景の花柄の壁や、絨毯などとても装飾的で、かなり凝ったつくりをしています。これぞ親密派というべき秀作です。
    その他には「象徴派」、「ギマールとアール・ヌーヴォー」などの展示室があります。「象徴派」では、代表画家であるモローの作品は一点のみでしたが、レヴィ=デュルメルの作品が揃っています。オルセーにあるような、色を使った、画題の分かる象徴主義的な作品ではなく、カリエールのようなトーンを抑えたパステル作品で、同じ画家の作品だとは分かりませんでした。





    ■「19世紀」
    この章はコレクションのクオリティや選択がとても良く、オルセーにもひけを取らないと思います。個人的にはかなり気に入りました。
    印象派やクールベなどのメインストリームの画家以外にも、ドレやスタンランなどパリを代表する画家の大作が見られたのは貴重でした。特にドレの「涙の谷間(La vallée des Larmes)」(下図)は圧巻。数々の挿絵を残している多作のドレですが、油彩においてもこれほどの仕事を残しているのを見ると本当に感嘆します。
    アカデミズムでは、ブーグロー「聖母マリアと天使(la vierge aux anges)」が、見事な額とともに、神々しく構えています。ブーグローによる同主題の作品もありますが、プティ・パレの作品は、マリアの立像を中心に、多数の天使を配する対称構図になっており、祭壇画のような圧倒感・緊張感を生んでいます。その他には、シェフェール、クチュールの作品がありました。
    対してロマン派では、ジェリコー、ドラクロワ、シャセリオー、グロといった大物画家が揃っていて、特にジェリコーはイタリアの風景を描いた作品があり、ルーヴルにある猛々しい作品ではないものが見られます。
    クールベは、「セーヌの河畔のお嬢さんたち」「眠り」という彼の有名作品があり、オルセー同様に見ごたえ十分です。さらに、並んで展示されている、無政府主義者プルードンを描いた絵もとても細やかに描かれた秀作です。「火事に駆けつける消防士たち(Pompiers courant à un incendie)」は対して、暗い不安をかきたてるような作品です。また、硬くしっかりと描かれた初期作品である「ジュリエット・クールベの肖像」「自画像」も対照するのに興味深い作品です。
    印象派の展示室では、モネ、シスレー、ピサロ、カサットなどの代表作家が見られます。ルノワールの作品も所蔵していますが、僕の行った時は展示していなかったように記憶しています。
    その他の気になる画家の作品として、ティソの「放蕩息子(出発、帰り)」の連作がありました。べっとりとした平たい塗りの作品で、オルセーの作品などを見ても分かりますが、彼は作品によって随分仕上げが異なります。
    また、彫刻家ジャン・バティスト・カルポーが、彫刻作品とともに絵画作品も集まっています。





    ■「18世紀」
    シャンゼリゼ側のいくつかの展示室を通して、絵画作品や調度品が並べられています。
    絵画では、ユベール・ロベール、グルーズ、ブーシェ、ダヴィッドなどが、小品が多いですがあります。ここは、絵画よりも、家具、その他調度品などの装飾が見所です。

    ■「17世紀」
    フランスの作品もありますが、17世紀フランドル絵画がクオリティが高いです。
    ロイスダールとヤン・ウェーニクス(Jan weenix)の作品が特に気に入りました。weenixは、ものすごいリアリティを持った、兎の狩猟静物画が目を引きます。まぎらわしですが、彼の父親である、Jan Baptist Weenixの作品もあります。


    以上のように、年代の幅とヴァラエティのある展示品の数々と、そのクオリティの高さでもって、プティ・パレはかなりおすすめできる美術館です。特に、オルセーが好きな人は是非あわせて行ってほしいところです。
    ダイナミックな天井画、うっそうと緑がしげる中庭、中庭を囲む見事な回廊、と美術館の内部も見所があります。



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