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  • プラハ国立美術館展 Bunkamura ザ・ミュージアム


    ルーベンスやブリューゲルに関する絵画を主に、チェコのプラハ国立美術館所蔵の約70作品を展示する展覧会。

    最初に全体を通しての感想をいうと、「これ」という注目すべき作品が少ない印象を持ちました。関連作品といえる、工房、帰属、複製作品が多く、また真筆であっても完成度の高いものは少ないように思います。
    フランドル美術の展覧会ですが、昨年行った「ウィーン美術アカデミー名品展」(損保ジャパン東郷青児美術館)と比べると、やや見劣りするのは明らかです。フランドル絵画、17世紀バロックに興味のある方が行くには十分だと思いますが、大家の代表作を求めて行くと少し思い違いがあるかもしれません。

    最初のセクションは、ブリューゲル・ファミリーの章。ピーテル・ブリューゲル(子)の小品が目立ちます。ここでは、無名の画家のものですが、「バベルの塔」(上図)が良かったと思います。青い空に、三点透視図法的にバベルの塔が聳え立ちます。ディテイユもしっかりしています。

    ルーベンスの章、肖像画の章では、ファン・ダイクの作品が登場しますが、複製画あるいは簡素な絵であり、彼の、落ち着き払った、精緻な完成作は見ることができません。

    花と静物の章では、この展覧会の扉絵である、ヤン・ブリューゲル(子)帰属の花卉画がありますが、(父)の作品を見ていると、それには遠く及ばないことが分かります。構成も塗りも甘い感があります。
    この作品よりも、隣のダニエル・セーヘルスの花卉画の方が上手い。植物学的な精緻さやシックなまとまりがあり、より引き込まれます。
    その他では、ヨハン・ルドルフ・ビースの「鳥のいる風景Ⅰ」が良かったです。鳥を集めた図鑑的絵画はいくつか見てきましたが、この作品は、上手い場面構成によって、それが必然的に持つ過剰演出が緩和されており、なお且つ、生物学的正確さ、陰影表現に長けています。

    最後の「日々の営み」と題された章は、それ以外の作品のまとまり、といった感で、統一感はなかったです。「アントワープの大聖堂内部」という作品が、フランドル絵画の細密性を示す作品だと思いますが、人物の塗りが弱く、背後のものが透過してしまっています。
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