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  • ペローの昔ばなし


    古今論争で知られる、17世紀フランスの詩人、シャルル・ペロー(1628-1703)による童話集。
    この前、「ラ・フォンテーヌの寓話」を読んだこともあり、同時代のフランス古典主義文学の作家、ペローの童話も読んでみようと手に取りました。また、「ラ・フォンテーヌの寓話」同様、ギュスターヴ・ドレが挿絵を手がけているのも大きな理由です。

    童話集は、散文で書かれる文章のあとに、韻文で簡明に「教訓」が書かれる構成になっています。
    物語は、ヨーロッパの民間伝承をペローがわかりやすくまとめたもので、もちろん、ペローの完全なオリジナルというわけではないですが、ペローによって面白くつくられた部分もあり、「ラ・フォンテーヌの寓話」と同じく、そこから人生の「教訓」が引き出されているのです。
    そういうわけで、ペローの作品は、後にドイツで出版されるグリム童話と重なる作品もあり、「赤ずきん」「サンドリヨン(シンデレラ)」など皆が親しんだ作品がほとんどです。
    ペローとグリム、それぞれの相違点があり、また違った側面から読んでいる感じです。結構前に流行った『本当は恐ろしいグリム童話』も思い起こしました。

    収録作品(白水社 今野訳)は、「眠りの森の王女」「赤ずきん」「青ひげ」「長ぐつをはいたネコ」「仙女」「サンドリヨン」「まき毛のリケ」「おやゆび小僧」。「仙女」「まき毛のリケ」「おやゆび小僧」は初めて知った作品でした(「おやゆび小僧」はいくつかの物語の要素が混ざっている様子)。

    個人的には「長ぐつを~」が一番面白かったです。知っている話ですが、ペローの語り口と、上のピクチュアのようなドレの描く猫で、とても面白く読めます。この物語の教訓では、青年にとっては、大きな遺産よりも、才能がより価値があるということ、「もうひとつ」、着物や顔立ち、若さが優しい気持ちを起こさせるのに、「まんざら役に立たないものではない」ということがいわれています。現代にも普通につながる教えです。
    「赤ずきん」は、グリム童話などでは、赤ずきんは最後助かりますが、ペロー版だと食べられたまま終わってしまいます。オオカミ(もちろん、人間のなかのオオカミ)の怖さや、あやまちの取り返しのつかなさを冷徹に提示しています。
    逆に、愛の大切さをうたう「まき毛のリケ」のような温まる作品もあります。
    また「おやゆび小僧」には、「このきこりも、正しいことをいう女の人はたいへんすきでしたが、いつもいつも正しいことをいう女は、うるさくてがまんできなかったのです」という一節があって、面白かったです。

    そして、挿絵をを手がけるドレですが、うっそうと茂る森林の描写、コミカルで表情豊かな人物、動物の描写はここでもいかんなく発揮されています。ペロー童話にはいくつも挿絵があるわけですが、写実的でありながら、個性豊かな趣を見せるドレの版画をおすすめしたいです。
    また、作者の問題、物語の背景など興味深い点も多くあるので、ぞれぞれの訳本の解説などを読んでみると、いっそう理解が得られると思います。
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