芸術、書籍、音楽などのレヴュー。あるいは随筆。 - Revue de l'art, le livre, la musique etc, ou essai.
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    「ふしぎの国のアリス」


    評論社 2000
    ヘレン・オクセンバリー絵 中村妙子訳

    誰もが親しんだことのあるルイス・キャロルの「不思議の国のアリス」。数ある版の中でも、この評論社のものを取り上げたのは、ヘレン・オクセンバリーの絵に魅かれたからです。

    アリスというと、テニエルの原画や、それを実写化した映画のイメージで、何となくアンティーク調で、クラシカルな趣が頭にありましたが、このオクセンバリー画は、それを敢えて無視して独自の世界をつくっているのが注目するところです。原画以外の有名な挿絵として、アーサー・ラッカムのものがありますが、こちらはかなり作りこんでいて美術的要素をふんだんに感じさせますが、オクセンバリーのものは気張った感がなく、より身近なアリスを描いています。

    とにかく、現代的な装いをしていて、アリスも青いワンピースをきた目の丸い少女の姿で描かれています。登場する多くの動物たちも、程よく擬人化されていて、リアル過ぎず、かつ動物的な要素も多く残されおり、親しみを感じます。チャシャ・ネコも、茶トラのデブネコという感じで、まったく「引きずられて」いません!
    水彩とコンテでつくる、やさしいタッチが良く、彩度も抑えられていて見やすいです。個人的には、マッド・ティー・パーティのところの挿絵が気に入っています。人物・動物だけ着色し、背景物は縁取りだけで残す処理も効果的に使われています。

    挿絵が多く、絵本としてオクセンバリーのアリスの世界を楽しめるのが良いです。おそらく誰が見ても、新しいアリスが見られると思うので、興味のある人は手にとって見て損はないはず。しかし、値段が張るのが難点です。あれば図書館で見るのが良いかもしれません。

    話としてのアリスも、通しでは初めて読みました。英語のできない児童、あるいは日本人には真には楽しめないなあ、と感じました。遊び心がふんだんに試されているのは分かりますが、これはやはり子供にはすんなり分からないでしょう。僕も、例えば、マッド・ティー・パーティの登場人物が、なぜ「三月」ウサギと「帽子屋」なのか、なぜヤマネは眠っているのかということも読んだ後調べて知りました。ウィキペディア等で知っておく必要があります。あと「もじり」ですね。個人的に一番面白かったのは、にせウミガメが受けたレッスン(lesson)が一日ごとに一時間減っていくものだった、というくだりでのグリフォンの説明(「それでレッスンとよばれるんだよ」「だんだんへっていく(lessen)のでね」)です。
    こういった趣向に凝っていて、全体的な内容はやはりあんまりないな、と感じました。でも最後のアリスが目覚めた後は上手くまとめていて読み終えた感が残ります。
    機会があれば他の挿絵も見つけてみたいです。
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