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  • 『ティモと沼の精』アンゲラ・ゾンマー=ボーデンブルク


    ちびっこ吸血鬼シリーズのアンゲラ・ゾンマー=ボーデンブルクの作品。
    この本では、田舎の沼地の村を舞台に、自然やものに宿る精霊を扱っていて、「ちびっこ吸血鬼」と同じく非現実の世界を描いていますが、「ちびっこ吸血鬼」のようなコメディタッチはなく、それだけ不気味さが漂う感じになっています。

    少しあらすじを紹介します。
    たいくつな夏休みを過ごすティモが、きびしい沼地の村、モールカーテンに住むミミおばさんのところへ一人旅をすることになります。ティモは、列車の中で、「夢を買う男」に自分の夢を売ってしまい、夢を見られなくなった男に出会い、モールカーテンの沼地にはお化けが住んでいることを知らされます。モールカーテンにつくと、ティモは、同じく赤毛をしたリュディアという少女に会いますが、なかなか打ち解けることができません。ティモは、おばさんの家に帰ると、かまどの精に出会い、赤毛をした自分が「特別な人間」であること知らされます。そしてティモは、同じく「特別な人間」であるリュディアと沼地へ冒険に出ます。

    物語としてみると、それぞれの章の転換が早く、つながりが薄いので、物語が単発的で流れがないように感じられます。さらに、夢を売ってしまい、さまよう男も、エピソードとして語られる部分は面白いのに、その後の絡みがないなど、少し膨らまし方が不十分なところがあります。しかし、全体としては、沼地の村の不気味な、非日常的な世界観が出されていて、そのようなテイストは十分伝わってきます。ちなみに、作者の住むところも沼地地帯ということらしく、インスピレーションは作者の体験から出ているのでしょう。
    何気に、リュディアのお父さんの「ぼくらはみんな俳優さ。人生はまるごと劇みたいなもんさ。……さて、そろそろ到着だ。」というさりげない台詞が印象に残ります。
    挿絵は、結構古風で、物語の雰囲気に合っていると思います。
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