芸術、書籍、音楽などのレヴュー。あるいは随筆。 - Revue de l'art, le livre, la musique etc, ou essai.
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  • 大エルミタージュ美術館展 東京都美術館


    ロシアの誇るエルミタージュ美術館の絵画80点を見せる展覧会。
    展示されている絵は、様々な時代や国、表現主義の画家によるもので、幅広くコレクションを紹介しています。展示構成も、時代順、国別などではなく、一章・家庭の情景、二章・人と自然の共生…、と画題によりおおまかに分け展示しています。
    平日行ったものの、混み気味でした。が、終わりまで30分からの、最初の方の展示室の環境はとても良く、最後は一人で気に入った作品を見られて良かったです。
    また、ポスト印象派以降の絵がメインで早く見終わるかな、と思っていましたが、予想外にそれまでの近代絵画もあり、個人的には満足でした。
    因みに、図録は上のクナウスの絵の表紙と、他の絵の表紙の2ヴァージョンあるのですが、明らかに、クナウスでしょう?という取り合わせでした。実際僕がいた数分にも、クナウス図録しか売れていなかったし。

    見ながらとった走り書きをまとめて、備忘録程度に以下に残しておきます。





    Ⅰ家庭の情景
    ■ルイ・ガレ「漁師の家族」
    自然主義的要素のある絵であり、デッサンの正確さ、仕上がりの綺麗さなど、力量が伝わってくる。人物を同一直線上の並べる構図が目をひく。
    ■クリスティーナ・ロバートソン「オウムと子どもたち」
    平たいタッチを生かした絵。背景の塗りも適度に抑え、みずみずしい人物に焦点を絞っている。二章のシャルル・シャプラン「鳥の巣を持つ女」も、このような効果を狙った絵といえる。



    ■ギュスターヴ・ド・ヨンゲ「窓辺の婦人」(下図)「散歩の後」(上図)
    ヨンゲは、ベルギー出身の画家。パリに移住し活動を行い、晩年はベルギーに戻ったが、両目を失明したとのこと。幼少時は音楽的才能を示した。
    隣に並ぶ、ガレに勝るとも劣らない細やかなつくりをしている。人物表現が上手く、肌、服、床、壁などの質感も的確に捉えている。特に、「散歩の後」は画家の美的感覚が鋭く表れた絵であると思う。ヴィクトリア朝のアカデミズムに通じる洗練さを持った絵。




    ■フェルディナン・ロワベ「オダリスク」
    画家はドラクロア讃美者のようだが、荒いタッチと古典主義的デッサン、人物表現が同居し、ハーモニーを生んでいる。暗いカーペットと明るい裸婦がとても対照的。
    ■フランソワ・フラマン「18世紀の女官たちの水浴」
    抑えた色調の背景に、きらびやかな女官たちを配置した絵。優美であり、装飾的な絵である。
    ■ルノワール「扇子を持つ女」(本文、下図)
    明るく保った画面の中に、三原色の淡い色を散りばめるように置いている。彼の絵全般にいえるが、中でもこの絵の手のデッサンはいい加減である。

    Ⅱ人と自然の共生
    ■ライスダール「森の中の小川」
    前景を暗く保った作品であるが、その中でこれほどのヴァリエーションをもって木々を描ききっているのは見事である。
    ■ギヨーム・ヴァン・デル・ヘキト「ケニルワース城の廃墟」
    ヘキトはベルギーの画家。
    ロマン派的な情緒的な風景画。深緑の基調と大気遠近によるコントラストが良い。
    ■ギュスターヴ・ドレ「山の谷間」
    広大かつ圧倒的な大作。全体として、単一な色調、タッチによってつくられているが、タッチのうねりと、筆触を強めた絵肌と滑らかな絵肌のコントラストにより、退屈さは感じられない。構図もあえて遊んでいないところも、それを助け、迫力を前面に出している。
    ドレの油彩は見たかったので、発見したときは驚いた。今展でも特に注目に値する。
    ■ルートヴィヒ・クナウス「野原の少女」(本文、上図)
    クナウスはドイツの画家。前景と後景、細やかながらも荒いタッチの草花と人物、の対照が良いと思う。花はとても装飾的に働いている。
    ■フランソワ・フラマン「フォンテーヌブローの森でのナポレオン一世の狩り」
    人物と動物をこれまでか、というほどに明確に描き出している。そういう意味で、目新しさが残り、引き込まれる絵である。構図もドラマチックに良くまとめている。

    Ⅲ都市の肖像
    ■ヤン・ウェイセンブルフ「アルンヘムの風景」
    穏やかな落ち着きのある絵。全体として均質で平坦な塗り、絵肌をしているように感じられるが、細部を見ると、壁や道などはとても細かな仕事がなされている。雲や人物が調子を与えるような感じで置かれている。
    ■オスヴァルト・アヘンバッハ「ナポリ湾の花火」(下図)
    見者にも花火の見物人の視点を持たせ、花火や灯火のハイライトをアクセントとして効果的に使っている印象に残る一枚。



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