芸術、書籍、音楽などのレヴュー。あるいは随筆。 - Revue de l'art, le livre, la musique etc, ou essai.
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    所有
    「得るということは、頑強に求める結果だ」とO.ルドンの自伝・評論にあった。
    この言葉は何気ないものかもしれないけれど、意外に心に残った。
    手許に置きたい、と思うものは、いつも強く思って、求め続ける姿勢がなくては手に入らない。逆から考えると、棚ボタ的に得たものが身につかない、ということわざが幾つかあるように、「頑強に求めた」過程がなければ所有はできないともいえる。

    この言葉を残したルドン自身は、兄による遺産整理で、自らの故郷を失っている。その喪失は彼にとって一つの「死」を意味するほどのもので、裁判まで争ったが、故郷ペイルルバードの地は守りきれなかったのである。これを見ても、現実には、頑強に求めていたとしても所有は保障されないものである。しかし、だからこそ、身に置きたいものは、強く求め、願い続けることが大切なのだろう。

    また別の側面で、あるものを得る、得ようと努力を続けることは、その他のものを失うことだとも思う。能力や時間は有限なのだから、あることに専心すれば、違うことへ向かうチャンスを失うことは明白である。大切だと分かっているものを犠牲にしても、あるものを得なくてはならないこともある。こう見ると、所有は喪失と隣りあわせかもしれない。

    話はそれるが、あるときサークルで、やって後悔するか、やらないで後悔するか、どちらが良いかという議論を聞いていた。このこともここでの話と関係の深い話だと思う。何かを実行して、それが上手くいけばいいが、失敗すればそれなりの代償を払い、後悔する。それを実行しなくとも、もし上手くいったとしたら、という思いを抱えて後悔することになる。失敗した代償を背負うか、失われた過去への執着を背負うか、これは一概にどちらが良いかいえないし、選択はその人の生き方、価値観に拠るだろう。これを見ても所有と喪失の収支の難しさが伝わっていくる。

    所有は、喪失と表裏であり、打算がつきまとうものだ。さらに、いったん得たものと思っていたものが、実は手の内になかった、ということも起こりえるだろう。
    そういうことで、書かれている範囲以上に、「得るということは、頑強に求める結果だ」というルドンの言葉が心に残った。本当に得たいものへの「頑強さ」はどれくらい持っている、持っていたのだろうかということを反省することにもなる言葉である。
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