芸術、書籍、音楽などのレヴュー。あるいは随筆。 - Revue de l'art, le livre, la musique etc, ou essai.
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  • ナポレオンとヴェルサイユ展 NAPOLEON et Versailles  江戸東京博物館


    フランスの英雄、ナポレオン・ボナパルトのさまざまな功績や同時代の文化を、ヴェルサイユ宮殿美術館の所蔵品をメインに振り返る展覧会。
    残り一日というギリギリな感じで行ってしまい、案の定すごく混んでいました。見終わったときには入場制限状態に。
    また、江戸東京博物館の企画展示室に行くのは初めてでしたが、展示室の構造や見せ方が本当に見世物小屋っぽくて、滑稽でしたね。少なくとも絵画を見る感じの空間ではなかった。まあ、今回は、絵画展でもないし、江戸東京博物館でヴェルサイユ宮殿の所蔵品展示することがミスマッチを引き起こしている感は否めないかも。

    ということで、展示品は博物館的な要素の強いもので、僕の求めるものは少なかったです。綺麗な調度品の数々は一般受けしそうな、見事なものばかり。絵画も、有名作か、戦争記録画、歴史画、あるいはプライヴェートせいの強い肖像画が多かったです。

    絵画は、ダヴィッド、アントワーヌ=ジャン・グロ、ロベール・ルフェーヴルあたりが中心的な作品だったと思います。
    その中では、断然、グロの作品が良いです。グロは、昨年、ルーヴルで数点見て意識し始めた画家で、作品数は見てないので、また複数作品見る機会になり良かったです。
    展覧会のメインになっている「アルコル橋のボナパルト将軍」(上図)と、共和制を擬人化して表現している「共和国」(下図)と、貴族の女性を描いた「ジェラール=クリストフ・デュロックの肖像」の3作品がありました。
    ナポレオンを描いた作品は、ダヴィッドのような仰々しい演出はなく、とてもスマートに仕上げられた作品。何ともないように見えて構図も素晴らしいです。両手に旗と剣を持っていて、何となく不自然な感じに普通なりそうですが、剣を持つ手の位置と剣の画面への入れ方、顔を振り向く体勢と旗の関係のつくり方、などそれを打ち消すような画面構成をしていると思います。また、やわらかい、かすんだタッチもとても良い。これもダヴィッドの「油」のみなぎったタッチに比べると良さが引き立ちます(もちろん、ダヴィッドもさまざまなタッチを使うけど)。
    「ジェラール=クリストフ・デュロックの肖像」は新古典主義風に仕上げられた完成度の高い絵。グロはダヴィッドの新古典主義を受け継ぐ有力者だったのですが、ロマン主義的な絵も志向していたようで、アングルのようにはなれず、最後にはセーヌ川に身を投げて自殺しているということを知りました。

    絵画展として行くと、収穫は少ないとは思いますが、もちろん、これは博物館の展示なので、人の入りが示すとおり、このようなコンセプトでは楽しめる展覧会だと思います。





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