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  • ジンメル 『社会学の根本問題』


    ドイツの代表的な社会学者、あるいは哲学者ゲオルク・ジンメルの晩年の作品。
    この本は、読みやすい、短い、値段が安い(文庫版)と、まずもってお奨めできる要素があります。また、それ以上に、社会学を学ぶ人にとって必読レヴェルの重要さがあります。良く、ヴェーバー『プロ倫』、デュルケム『自殺論』などの古典、あるいはギデンズ『社会学』などの教科書くらいは読め、みたいな言説がありますが、その中にこの本を入れても全く構わないでしょう。

    内容は、ジンメルにとっての社会学の位置づけ、とそこの中で問題になってくる個人と社会との関係やその見方を、形式社会学、一般社会学などの章に分けて考察したものです。

    僕の捉えるジンメルの面白い点は、彼の社会観ですね。
    まず従来の社会観として、
    1.社会唯名論:実在するのは個人だけで、社会なんてものはない。
    2.社会有機体論:社会は実在し、それは生き物のように活動、変化している。
    が主にありますが、ジンメルは両者を退けます。
    彼は、個人の意識だけでは説明できない現象が実際にある点で社会唯名論を否定し、諸個人とは別個に巨大な実体としての社会が存在するような見地は、諸個人の絶え間ない相互作用を前提とする点で社会有機体論を解体してしまいます。

    すなわち、「社会は、言ってみれば、実体ではなく、独立の具体的なものではなく、一つの現象になる、個人間で与えたり、与えられたりする運動や影響力の関数になる」のです。より簡単に言えば、社会とは、個人の相互作用が折り重なって結晶化したものといえます。
    彼の「社会というのは、もともと、機能的なもの、諸個人の能動的及び受動的な活動のことであって、この根本性格から見れば、社会と言うより、社会化と言うべきものである。」という態度には、現代になって始まった「社会心理学(ミクロ社会学)」「社会システム論」の先駆けとなるものが読み取れ、とても当時としては斬新なものだったでしょう。

    社会学をかじるものとして、僕も大切にしている本です。
    岩波文庫(またはで値段は3倍くらいになりますが世界思想社のハードカヴァー)で手に入ります。

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