芸術、書籍、音楽などのレヴュー。あるいは随筆。 - Revue de l'art, le livre, la musique etc, ou essai.
  • calendrier
  • 魅惑の17-19世紀フランス絵画展 損保ジャパン東郷青児美術館
    courbet.jpg

     南仏モンペリエにあるファーブル美術館から作品がきています。このファーブル美術館、2002年から改修工事のため来年まで休館し、世界中に作品を巡回させています。こんな改修工事がなければ、これほどの作品は数、質とも来なかったのではないでしょうか。そういう意味で貴重な時期での展覧会です。
     展覧会名そのままに僕の趣味をストライクしてます。プッサン、シルヴェストル、ダヴィッド、ドラクロア、コロー、ミレー、カバネル、トマ・クチュール、クールベetc.。この時代を代表する錚々たる画家たちの作品が集まっています。特に、ダヴィッド以降の絵画的な流れは、それまでの絵画を総べ、いわば、近代絵画に対抗する伝統絵画の最隆盛期として見ることができないでしょうか。彼らは、それまでの絵画技法を大切にしながらも、それより洗練された絵画技法をリプレゼントしてると言えないでしょうか。僕のこのような、18-19世紀のサロン側的な絵画の評価は、ともすれば過大評価なのかもしれませんが。(勿論、ここで挙げた彼ら全員がサロン、体制側の価値観を持っていたわけではありません。ただ技法的には、古典的、伝統的技法を解釈したもの、として見ることは誤りではないでしょう。ここではあくまでも、印象派以後との比較において生ずる意味において、です。また、18-19世紀絵画がすばらしいといっても、例えばラファエロよりすばらしいのか? ということでは言うまでもなくありません。彼らが、印象派を否定した古い価値をもった頑固もののような文脈で切り捨てられることに対しての再評価なのです。)
     展覧会は、絵の前に、ほぼ白線をひいたりすることなく、見たい距離で自由に見れます。この中で、特に光ってたのが、カバネル(下図)とクールベ(上図)でしょう。
     カバネルは、ナポレオン三世が絵を気に入り、買い上げられた「ヴィーナスの誕生」で有名だと思います。モンペリエ出身だそうで、死後にファーブル美術館に作品を遺したそうです。彼の絵は、日本では何処で見られるんでしょうか? 僕は知りません。ということで、このような機会が無いと、お目にかかれません。すごく色彩が鮮やか、且つ品がよく、一言で言うなら魅惑的な絵です。
     クールベは、このブログで紹介したクールベ美術館展の作品が、主に風景画であったのに対し、今回のは人物画中心。どれをとっても感嘆です! 特に大作「出会い、こんにちはクールベさん」(おかしいようなタイトルだけど、本当に「La Rencontre ou Bonjour monsieur Courbet」なのでそうなる。)は、明るくただっ広くひろがる草原を背景に、クールベと彼のパトロンのブリュイアスとの出会いが、両者を対照的に描くことで面白く表現されています。こんなところで実際は出会ってはいないだろうが、このような背景、人物表現で「出会い」描くことに、当時の人たちが批判したのも無理ないですね。その意味で、クールベの前衛性を示す良い作品。

     他の作品も見ごたえあるものばかりです。今回のように、17-19世紀のフランス絵画を一望できる展覧会は貴重です。これから各地を周るようなので、印象派以後以外の絵画の良さを、多くの見た人が実感できる機会だと思います。

    cabanel.jpg



    スポンサーサイト
    コメント
    この記事へのコメント
    コメントを投稿する
    URL:
    Comment:
    Pass:
    秘密: 管理者にだけ表示を許可する
     
    トラックバック
    この記事のトラックバックURL
    この記事へのトラックバック