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芸術、書籍、音楽などのレヴュー。あるいは随筆。 - Revue de l'art, le livre, la musique etc, ou essai.
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  • ラファエル前派の軌跡 三菱一号館美術館
    ラファエル前派の理論的支柱にもなりその活動に多大な影響を及ぼした美術評論家ジョン・ラスキンの生誕200年を記念しての企画展となっています。
    もちろん、ミレイ、ロセッティらラファエル前派の画家の作品を見渡すことのできる展覧会ですが、ラスキン、ターナーの風景画が導入部にて据えられており、その端緒や文脈が示唆される構成になっています。また、ラファエル前派以降の展開もバーン=ジョーンズ、モリスを中心に充実したものとなっており、「軌跡」展と呼ぶにふさわしい内容となっていました。
    東京展以降は、久留米、大阪を巡回します。

    ラファエル前派では、ロセッティの作品が「ウェヌス・ウェルティコルディア」以下、とりわけ秀作ぞろいとなっていました。
    ラファエル前派のフォロワーとしては、個人的に注目しているアーサー・ヒューズの作品がいくつかあって良かったです。彼の作品は抒情的で憂い、もの悲しさを感じさせる女性が印象に残りますが、「音楽会」とそのヴァリエーションである「マドレーヌ」もまさにこれに合致します。「音楽会」はルイス・キャロルが高く評価したそうで、キャロルはこの時代の画壇にも結構出入りしていたのですね(まずラスキンとも交友がありますし)。
    ラファエル前派周辺のセクションで、ウィリアム・ダイスの「初めて彩色を試みるティツィアーノ」という作品がありましたが、非常に精緻、技巧的であると感じました。ダイスは年代でいうと、ラファエル前派世代よりもだいぶ上(PRB結成時でダイスは40代)ですが、その影響を受けたようです(明確な画風の転換があったのでしょうか)。テイト・ブリテンで見た作品においてもミレイにも比肩する筆致を注目していたのですが、自然科学的正確さを持った表現力ではトップレベルです。
    バーン=ジョーンズは1セクション割かれており、油彩、水彩、デッサン、版画、タペストリーと多様なメディアでもって展示されていました。モリスとのコラボレーションも含めその後のアーツアンドクラフツ運動への展開までが示され「軌跡」が締めくくられています。
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