芸術、書籍、音楽などのレヴュー。あるいは随筆。 - Revue de l'art, le livre, la musique etc, ou essai.
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    密閉型+携帯可なヘッドフォンが欲しくなって視聴にでた。
    なるたけケーブル着脱可かつ2万円台という条件で、候補としたのが以下の機種。
    実は、次に買うのであれば、SHURE(840)と決めていたほど、SHUREの音が気に入っていたのだが、物理的な脆弱性を指摘する報告がいくつもあって、ひよってしまったのである(現在出回っているロットは調整済とのことだが、ヘヴィ&粗雑に使いたい身にとっては不安…)。

    AKG K545
    AKG K271MK2
    zennheiser MOMENTUM
    DENON AH-D600

    結果、MOMENTUMに決めた。
    AKG K545は値段も手ごろ+キャンペーン中で、解像度も高かったので迷ったが、シャリ感が強く、全体が電子音っぽく聞こえてくる。ヴォーカル、アコースティックメインの音楽にはやや不向きと判断。
    DENON AH-D600は音自体は満足したが、いかんせん、大きすぎて、装着感や携帯性の観点で難点ありと判断。DENONは(現時点で発売前の)AH-MM400が気になっていたのだが、発売延期等もあり見送り。

    MOMENTUMは、音もいいのだけど、デザインや装着感も素晴らしい。
    しかも低インピーダンスでアンプのお世話は(とりあえず)いらない。
    つくりや付属ケースもしっかりしている。
    色は、レトロ感のあるアイヴォリーを選択した。
    オンイヤータイプのものは、さらにカラーバリエーションが豊富でおしゃれである。

    解像度の高い、モニター系のヘッドフォンが欲しいので、いつかポタアン+SHUREの上位機種などそろえられたらなあ。
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    ウフィツィ美術館展 東京都美術館
    ウフィツィ美術館(近隣の美術館含む)のコレクションにより、フィレンツェ・ルネサンスを紹介する企画展です。企画展の副題は「黄金のルネサンス ボッティチェリからブロンヅィーノまで」となっており、ボッティチェリの作品が多数鑑賞できる機会になっています。
    何気に、ウフィツィ美術館展というのは本邦では初とのことです。

    展示は分かりやすく年代、様式順になっていました。
    15世紀までの初期ルネサンスでは、やはりボッティチェリ、ペルジーノらの絵画が際立っていると感じました。人体などの写実性、背景・人物の構成等が他と比較しても段違いに発展しています。人物も表情豊かに、重層的に並べられていて、平坦な宗教画と比較すると、絵を見るのが面白いです。
    見どころの一つである、「パラスとケンタウロス」は、パラスの人体デッサンは多少崩れていると感じますが、細やかな描写や、理性の優位という寓意を示す画面や表情の描き方などが光っています。
    他では、ヤコポ・デル・セライオの旧約聖書の一場面を描いた物語絵巻のような絵が面白いと思いました。
    本展では、15-16世紀のフィレンツェの政治・文化状況も解説されており、鑑賞の手助けになりました。15世紀末に神権政治を行った修道士サヴォナローラの影響を受け、ボッティチェリの絵画様式も変遷した、というのも知り、確かに晩年の作品は工房作も含めて見るに、優美さがなく固い印象を受けました。

    続くセクションは、ヴァザーリが「マニエラ・モデルナ」と呼んだアンドレア・デル・サルトら16世紀の画家、コジモ1世の宮廷画家ブロンヅィーノの絵画が展示されていました。

    純粋な宗教画や古い時代の絵画を見るのは知見が浅く、得意ではないのですが、初期・盛期ルネサンスの巨匠の絵画は面白いものが多く、これからも少しずつ鑑賞や勉強を積んでいければと思いました。
    ボストン美術館 ミレー展 三菱一号館美術館


    ボストン美術館のジャン・フランソワ・ミレーのコレクションを紹介する企画展です。
    ミレーというと、今年が生誕200年ということで、府中美で開催されたミレー展(「生誕200年」展)もあり、国内で見応えのある作品を見る絶好の年となっています。
    今展は予備知識なしで行って、ミレーの個展と思っていたのですが、バルビゾン派を中心に、ミレー周辺の画家の作品も同時に展示しています。全64点のうち約4割ほどがミレーの作品であり、結構な数の関連作品でもって展覧会が構成されていることになります。
    ボストン美術館のミレーコレクションについては、30年前に同様の企画展があったようで、そのときは素描等も含んでミレーの個展となっていた模様です。
    ミレーの注目度は高いのか、まだ会期は残っているのにも関わらず平日の昼間でも人の入りはよかったです。

    フォンテーヌブロー、バルビゾン村、家族主題、周辺画家への影響などテーマを分けて展示していました。
    ミレーについては、ボストンの3大ミレーといわれている「種をまく人」「羊飼いの娘」「刈入れ人たちの休息(ルツとボアズ)」という代表作が来ていることが話題となっています。主に農村の情景を描いた作品が多く、また関連作品も豊富であり、この点は府中美とは趣を異にしていました。「種をまく人」については府中美の方でもバージョン違いの展示がありましたが。
    周辺画家でいえば、コロー、テオドール・ルソー、ディアズ、トロワイヨン、ジュリアン・デュプレ、レオン=オーギュスタン・レルミット等、秀作ぞろいでミレーに劣ることなく見応えがあります。ディアズは、前に見て気に入っていた「祭に向かうボヘミアンたち」がありました。
    バルビゾン派は相互にかなり似通った技法、構成で描かれていますが、ジュリアン・デュプレ、レルミットら第2世代になると独自の解釈・受容がなされていることが分かり、例えば、ジュール・デュプレにおいては、質感表現、タッチによる描き分けがなされ、より写実主義が志向されています。バルビゾン派とその同時代の周辺画家では、あまりデッサンの精確性が重んじられず、画面も全体的に厚塗りがなされていたものと比べると対照的に映ります。

    ミレーやバルビゾン派周辺画家は、当時からアメリカでの受容、人気がありましたが、やはりボストン美のコレクションは量・質ともに一級であり、一見の価値がありました。
    チューリヒ美術館展 国立新美術館


    スイスのチューリヒ美術館の印象派以降の20世紀絵画コレクションを紹介する企画展です。
    チューリヒ美術館のコレクションをまとまった形で日本で展示する機会は、これが初ということで、モネの睡蓮大作など見どころのつまったものになっています。

    展示は、画家・流派ごとそれぞれ展示室1室を与えられており、細かく区切りをつけて見られるようになっていました。また、それぞれの展示量も多くないので、とても鑑賞のしやすい展覧会でした。さほど区切りなく、多量の作品を混雑の中で鑑賞するのも疲れる年になってしまいました。

    最初の展示室は、スイスにゆかりのあるセガンティーニのセクションとなっていました。「淫蕩な女たちの懲罰」「虚栄」の2作しかきていませんが、両方ともに晩年の完成度の高い象徴主義作品です。
    「懲罰」の方は、線描に加え、スクラッチを用いているのか、かなり細かな作業のなされた絵肌をしており、色調もそれに合わせて非常に繊細に統制されている印象を受けました。

    続く、モネのセクションでは「睡蓮」が迫力のある展覧会のハイライトとなる一枚になっています。
    この睡蓮は、配色や色調に目が向かう抽象絵画のような魅力をもっており、中央の黄色から緑、紫、赤に向かうトーンと、中央と周辺の明暗のコントラストが素晴らしいと思います。特に、大胆なコントラストについては、画面を締め、色彩を際立たせるのに必須であり、この睡蓮では精神性すら感じさせるまでに成功している点と思います。

    以降は、ホドラーやココシュカ、アルベルト・ジャコメッティら、スイスの画家、彫刻家の秀作が並べられていました。シャガールのコレクションは、良いものがそろっていると感じました。
    個人的には、アウグスト・ジャコメッティの作品が見られたのが良かったです。
    ウィーンのアルベルティーナ美術館の企画展で彼の作品を見てから気になっていました。今回は抽象画でしたが、塗り方、色遣いを見てすぐにピンときました。色彩構成や独特な筆遣いは異彩をはなっており、さらに作品を見たくさせます。

    東京展は間もなく終了し、神戸に巡回します。