芸術、書籍、音楽などのレヴュー。あるいは随筆。 - Revue de l'art, le livre, la musique etc, ou essai.
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  • モネ、風景をみる眼―19世紀フランス風景画の革新  国立西洋美術館


    西洋美術館がポーラ美術館と共同で企画した展覧会です。
    会期終わりに行ったせいか、チケット購入待ちが出るほど混んでいて、落ち着いて前列で見られる環境ではなかったです。国内の2美術館のコレクションで構成されているにもかかわらず、これだけの盛況ぶりは驚きでした(ポーラのコレクションが東京で見られる機会も多いことも考えると)。
    ちなみに、西洋美術館が国内市立美術館と共同企画することは初の試みということらしいのですが、こういうところにも注目が集まったのかもしれません。

    内容は、タイトルの、モネの「風景を見る眼」というテーマで、作品を通して、彼の独自の視角や表現を読み解くことを主眼としています。
    ちなみに、この「眼」というタームは、セザンヌによる、「モネは眼にすぎない、しかし何と素晴らしき眼なのか」という賛辞によっているようです。
    行く前は、モネにもっとクローズアップした企画展なのかと思っていましたが、実際はそうではなく、これまた表題中にある「19世紀風景画」を広く紹介するものとなっていたと思います。それなので、印象派以降の絵画潮流をメインとしながらも、クールベ、マネ、シャヴァンヌ、ルドンらの作品も集まっていました。「モネの眼」だけではない、様々な画家の眼を通して表現された風景を楽しむことができ、これは充実した内容になっていたと思います。

    ルーアン大聖堂、睡蓮、ウォータールー橋等の代表的なテーマが取り上げられており、モネの独特の光、大気、水、水面反射の表現を見ることができます。特に、水面の反射、ゆらめきの表現はすばらしく、タッチや色彩を最大限活かして、水面が対象や空と溶け込み、渾然一体となっているような魅力ある画面を作り出しています。革新的でユニークな眼であったことが強く伝わってきます。
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    シャヴァンヌ展 Bunkamuraザ・ミュージアム
    ピエール・ピュヴィス・ド・シャヴァンヌの個展です。
    壁画画家としてのシャヴァンヌの画歴を順立てて追っていく構成を取っており、全体像があまり紹介されていない画家の姿を分かりやすく提示していました。
    デッサン習作や、壁画本作の縮小版など、貴重な資料、作品が充実していました。
    シャヴァンヌというと、のっぺりとした人物や仕上げ方のイメージが強かったのですが、巧みな人物デッサンや綿密な習作のもとで本作が完成されていることが分かり、これまでの見方も随分と変わりました。トマ・クチュールに師事していた期間があることを知りましたが、クチュールの影響を多少感じました。
    画面構成においても、老若男女を大人数配置した群像図となるため、人物の動きや配置等にも綿密な準備があることが分かります。画面上の遠近はそこまで出さずにヴァリエーションをつけるのも難しいことですが、非常に良く練られてそれぞれの場面が構成されていると思います。また、単調さを感じさせない構成は、「幻想」「海辺の乙女たち」などの一枚絵でも見てとれます。

    また本展は、島根県立美術館の企画協力となっており、東京展のあとは島根県立美術館を巡回します。展覧会の映像コーナーは、島根県立美術館作成の分かりやすく見応えのあるビデオが放映されており、初学者には必見ものであると思いました。