芸術、書籍、音楽などのレヴュー。あるいは随筆。 - Revue de l'art, le livre, la musique etc, ou essai.
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    トスカーナと近代美術 もうひとつのルネサンス 損保美術館


    フィレンツェのピッティ宮近代美術館の絵画コレクションを紹介する企画展です。
    イタリア近代絵画の展覧会は、記憶でも2010年の「マッキアイオーリ展」くらいで、正直、初めて作品を見る画家が大半でした。
    公式HPにも「フィレンツェとトスカーナに焦点をあてたイタリア近代絵画の展開を日本で初めて系統的に」紹介する、とあるので、少々マニアックですが貴重な企画展です。

    展覧会の注目点の一つは、やはりマッキアイオーリとなっており、代表画家のファットーリの風景画が見どころであると思いました。
    マッキアイオーリは、イタリアの印象派とも紹介されますが、時代や広がりでいえば、本家フランスの印象派よりも早い絵画潮流で、マッキア(斑点)と揶揄されたように、風景をスケッチ風に動態的なタッチで捉える作風が特徴となっています。ということで、印象派インスパイア系(…言い方はよくないですね)とは違うのであって、特にデッサンがなっていない、色調が現実離れしている、ということもなく、日本では知名度は低いものの、非常に見やすい、親しみやすい絵なのではないかと思います。

    紹介などもあまり大々的にはされてこず、イタリアの近代美術については、数名の画家の名前くらいしか知りませんでしたが、表題の「もうひとつのルネサンス」が表すように、近代イタリアでも革新的な絵画運動が起こっていたことを作品を通して知る機会になりました。イタリアは、同盟国のドイツとは違い、大戦期でも同時代芸術が排斥されることがなかったというのも大きな要因であったようです。
    フランス、イギリス、ベルギーあたりの近代絵画はかなり見慣れているので、こういった機会にあまり紹介の進んでいない絵画を見るのもいいと思います。
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    レオナール・フジタ展 Bunkamura ザ・ミュージアム


    レオナール・フジタの個展です。

    本展の見どころは、フジタの自宅装飾のためのタイル画連作、〈小さな職人たち〉です。
    さまざまな職業の様子を子供を主人公として描いた力のこもった連作で、100点近く並ぶと流石に圧巻という印象でした。

    また、フジタの代名詞ともなる「乳白色」の婦人画や、子供や擬人化された動物を描いた作品など、おなじみの作品も章立てて紹介されています。
    さらに、写真家土門拳の撮った写真も展示されており、当時のリアルな姿をうかがうことができます。特に、これらの写真が、フジタがどのようにして描いていたかという技法面の発見も裏付けるものにもなっていて、より興味深い資料だと思いました。

    フジタは、技術的にいえばパースや人体デッサンはかなり崩れていますが、それを仕上げ方法まで含めて、確固たる画風、見せ方までに確立させていて、かなりユニークな位置を占めているなと改めて感じました。特に、線描は神がかり的なものを感じずにはいれない、といった感じで、いつ見ても感心するばかりです。線描については、あまり過渡的な作品を見たこともないので、何故に、どうやって、あれほどまでに引くことができたのかと疑問にすら思います。

    ポーラ美術館コレクションから主に構成された企画展なので、観たことのある作品も多かったですが、プラスアルファ要素もかなりあったので、満足できる展覧会でした。

    エミール・クラウスとベルギーの印象派 東京ステーションギャラリー


    ベルギーを代表する印象派画家、エミール・クラウスにスポットをあてた企画展です。
    クラウスの作品が、今展のように個展といえるほどに集まるのは初めてであり、とても貴重な鑑賞の機会でした。
    東京展の会期は以前に終了していますが、10月後半まで石川、愛知と巡回します。

    会場となる東京ステーションギャラリーには東京駅改修後、初めて行ったわけですが、エントランス、階段など趣きのあるつくりのギャラリーになっていました。
    ただ、展示スペースが狭いので、今回のような(集客があり、大作も展示される)企画展にはあまり向かないように感じました。人の入りが多くなると、結構不自由さ、ストレスを感じてしまいます。

    クラウスの作品は、大作も含め、秀作といえるものがいくつも展示されており見応え十分でした。
    クラウスは印象派、また光の表現に重きをおいた画家としてルミニスムの画家として分類されますが、作品を眺めて分かる通り、フランスの本家印象派とは一線を画しています。
    戸外の光の表現を追求する点は同じくしても、特に輪郭線が背景に溶け込んだり、筆触が荒々しくなることはありません。
    細やかなタッチを丁寧に重ね、光のもとでの対象を表情豊かに捉えており、特に風景画では抒情的で精神性を感じさせる作品が多いように感じました。
    「そり遊びをする子供たち」や黄昏時を描いた作品など、光の表現のヴァリエーションには目を見張るものがあります。
    加えて、画面構成も非常に練られていることも明白で、遠近構成や対象の配置はもちろん、パースペクティヴや光源の位置も非常に工夫されており、マンネリを感じさせないのもすごい。
    クラウスの写実性のある表現についていえば、図録論文では、初期段階ではサロンでの成功を目指していたことや、バスティアン・ルパージュから影響を受けていたことが指摘されています。さらにベルギーの印象主義が、フランスとは異なり、独自の受容や解釈を受けていたことも解説されています。

    クラウスのセクションに対しては、同時代のベルギー、続いてフランスの印象主義、新印象主義(点描)の画家のセクションが比較対照されています。ラストには、それらの日本での受容という観点で、児島寅次朗らの作品が紹介されています。

    全体を通して、非常に内容のある有意義な企画展でした。ベルギーでは、フランス美術の影響を受け、印象主義、新印象主義、象徴主義、表現主義などいくつもの絵画潮流が発達したので、これからも日本への紹介の機会が増えるといいと思います。

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