芸術、書籍、音楽などのレヴュー。あるいは随筆。 - Revue de l'art, le livre, la musique etc, ou essai.
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    オディロン・ルドン 夢の起源 損保ジャパン美術館


    オディロン・ルドンの回顧展です。
    ルドンの国内最大級のコレクションで知られる岐阜県美術館と、ルドンの生地であるボルドーのボルドー美術館の収蔵品をメインとして構成されています。
    岐阜県美術館のコレクションやリトグラフ作品は過去の企画展で紹介されているものが多いので、何度か見たことのある作品も結構ありましたが、ボルドー美術館のコレクションは未見のものがほとんどで、企画展としての価値はルドン展の中でも比較的に高いものだったと思います。

    展覧会の構成は、ルドン周辺、黒作品、色彩作品という章分けで、オーソドックスかつ分かりやすいものでした。

    まず、注目したのが、「アポロンの馬車」です。同構図、同スケールの2作品(ボルドー美術館、愛媛県美術館)が展示されています。
    展示作品を見ると、色彩、描写ともに整理された愛媛県美術館の作品が完成作で、塗りが統一されておらずパステルの線描が残るボルドー美術館の作品がその前段階の習作なのかと想像しますが、画集を参照すると制作年代は逆のとのことです。
    ボルドー美術館は、パステルと油彩が用いられており、褐色の線描、塗りのスペースが多くなっています。2作品を時系列的に比較すると、パステルと油彩の混合技法を新しい表現として模索していたのかと想像してしまいます。とにかく同構図の完成作品のあとに描かれたものとして、ボルドー美術館作品はどのような位置付け、性格の作品となるのかは気になるところです。

    続いて着目したのは、最晩年の作品2点(1914年頃・上図、1916年)です。
    これらは、褐色のみで仕上げられた作品で、ともに人物を横から捉えています。このような作品を最晩年に残していることは初めて知りました。
    画業の後期は、色彩の時代と位置付けられますが、このように(黒ではないにしろ)モノトーンで描かれた象徴性、精神性の高い作品があるということは、後期ルドンを見るうえで重要な論点になると強く感じました。この関連でいえば、上で取り上げた「アポロンの馬車」(1909年、ボルドー美術館)、「騎馬兵の戦い」(1910年頃)などの後期作品も、茶系でまとめられています。

    さらに、1点の方(上図)は、パステルと油彩の混合技法で描かれているだろうことも、注意を払っておく必要があります。
    「アーケードのある背景の若い娘の肖像」(1910-1911年)は、真白い下地に、同じく茶系の油絵具とサンギーヌでモノトーンに仕上げられた作品です。白い下地を汚さずにこれだけ綺麗に線描できていることにも驚きますが、「アポロンの戦車」同様、パステルと油彩の併用に関連付けられる作例としても見ることができます。

    東京展はすでに終了しており、現在は静岡で、その後は岐阜、新潟と会場を移していきます。
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    貴婦人と一角獣展 国立新美術館


    パリの中世美術館が収蔵、展示している名高いタピスリー、「貴婦人と一角獣」全6枚を展示する企画展です。
    学生時代、遡ること2005年に中世美術館を訪れてこのタピスリーを見たのですが、そのときの強烈な印象が未だに残っています。圧倒的な存在感と荘厳さを持った唯一無二の作品です。
    正直、こんな第一級の作品が日本に運ばれてくるなど思いもしなかったし、作品の保護の観点から見れば(鑑賞できる喜び以上に)心配にもなってしまうレベルです。とにかく、鑑賞できる貴重な機会を活かさないことはありませんが。

    日本で企画展にて鑑賞できるということで、タピスリーの歴史背景や図像学的考察を知る機会にもなりました。
    図録では、貴婦人と一角獣にまつわる来歴、一角獣の図像学、同時代のタピスリー考察などを詳しくフォローしています。
    タピスリーに一角獣や獅子が登場することは、言葉遊び(暗示)があるという説や、一角獣については「一角獣狩り」という主題があることは初めて知りました。一角獣については、もうちょっと関連作品などを並べてもらい、深く知りたいとも思いました。

    タピスリーについては前回よりも客観的に見ることができ、各タピスリーの差異なども細かく確認することができました。会場では、映像解説や、タピスリー部分のパネル展示などが助けになっています。また、タピスリー下部の後世の修復部も結構目立つことも印象に残りました。後世の素材の方があせてしまうというのも何だか、といった感じですね。
    展覧会は、東京展が終わり、会場が大阪の国立国際美術館に移ります。
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