芸術、書籍、音楽などのレヴュー。あるいは随筆。 - Revue de l'art, le livre, la musique etc, ou essai.
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    【ウィーン】オーストリア・ギャラリー(ベルヴェデーレ上宮)


    ピクチュアを見る通り、バロック様式の豪華な宮殿美術館で、広く立派な庭園もあります。もとはプリンツ・オイゲン公の離宮としてつくられたもので、彼の死後にマリア・テレジアに売却されたとのことです。
    ベルヴェデーレ宮殿の上宮が、オーストリア・ギャラリー(オーストリア絵画館)として、近代絵画をメインとした美術館として公開されています。
    また、上宮があるということで、もちろん下宮もあります。訪問時下宮では企画展を開催していましたが、時間の都合でパスしました。
    ウィーンの地図を見ると一目瞭然ですが、上下宮殿・庭園でかなりの敷地面積を有しています。歩き回ると結構な距離になります。

    展示内容は、18世紀以降が中心です。現地で確認できたものについて以下に簡単にまとめておきます。

    18世紀絵画
    ヨハン・ロットマイヤー、ハインリヒ・ヒューガーなど。

    ロマン派
    フリードリヒの完成度の高い作品がありました。

    オーストリア絵画(ビーダーマイヤー、その他)
    フェルディナント・ゲオルク・ヴァルトミュラーの作品は人物画中心に結構な展示数がありました。
    フリードリヒ・フォン・アメリングは、女リュート奏者を描いた作品がありました。
    アメリングは数点しかありませんでしたが、十分に上手さが光っていました。ヴァルトミュラーは丁寧に細部から仕上げている感は出ていますが、少なくとも人物に関してはデッサン、構成、表現などアメリングの方が上ですね。アメリングはなぜか画集類が発達してないのが気になりました。ミュージアムショップにはヴァルトミュラーのものは企画展図録(2009年に大規模な回顧展が開かれたようです)はありました。事前にアマゾンで見たり、現地の書店も見たりしましたが、分離派より前の画家はあまり扱われていません。
    アントン・ロマコ(Anton Romako)はこの美術館でとても印象に残った画家です。あやしさを醸す独特の描写とタッチが際立っています。
    エミール・ヤコブ・シンドラーは良い風景画がいくつか展示されていました。

    フランス絵画
    ダヴィド、コロー、ジェラール、印象派、ドービニー、ミレー、ドーミエ、クールベなどの作品がありました。ドーミエはサンチョ・パンサを描いた作品があり気に入りました。

    クリムトその他
    クリムトは代表作が集まっているので、クリムトファンでなくとも鑑賞する価値ありです。クリムトの展示室は他と趣きが変わっていて、作品の静謐さ、荘厳さなどを増していました。
    また、スクエアな画面を使ったあの独特の風景画を集めた展示室もありました。クリムトの風景画をまとまって見られたのはこの美術館のみであったので、この点でも貴重だと思います。
    その他、ココシュカ、エゴン・シーレなどのコレクションも充実しています。

    その他
    20世紀絵画もかなり多くあったように記憶しています。画家の自画像のコレクションもあったように思います。

    **

    以上のように、展示内容は多岐に渡り、展示量・面積も多いです。十分な時間をとって鑑賞に臨むか、分離派など目的を決めてスポット的に見てくるのが良いと思います。上下宮を回るとすると、休憩なども含めて半日強~1日がかりになってしまうと思います。
    オーストリア絵画を見るには、ウィーンミュージアム カールスプラッツよりも充実した美術館であり、近現代の西欧美術コレクションも質が高いので、個人的にはウィーンの美術館の中では満足度は高かったです。建築を見たり庭園も散策できたりしますのでおすすめです。

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    【ウィーン】ウィーン造形美術アカデミー絵画館


    ウィーン美術アカデミーのコレクションを展示する美術館です。
    アカデミーの建物のワンフロアの一角がギャラリーとしてあてられています。
    美術学校付属の施設のためか、エントランスはこじんまりとしていて、チケット売り場もちょっとしたミュージアムショップと一体になっていました。
    調べると近年改修したばかりだそうです。

    コレクションは、ルネサンス、黄金期フランドル絵画、スペインなどのバロック絵画が中核をなしています。
    日本でも企画展が開かれたことがあるので知られているかと思います。
    クラナハ、ヒエロニムス・ボス(重要作品の「最後の審判」があります)、ルーベンス、ロイスダール、デヘーム、レンブラント、ヴァン=ダイクなどは見事な作品が鑑賞できます。
    個人的には、フランチェスコ・グアルディの海景画、ヤン・ウィーニクスの狩猟静物画なども良いと思いました。
    15世紀の宗教絵画からハインリヒ・フューガーなどの18世紀絵画まで幅広いコレクションを有しています。

    美術館は、建物の一片分の仕切りのない長い展示室がメインのギャラリーとなっており、それほど大きくはありません。2時間もとれば十分に味わって鑑賞してこられると思います。
    目立たない印象もありますが、セセッシオン、美術史美術館のあるエリアにあるのでアクセスも良く、余裕があるのであれば併せて訪れたい美術館です。

    【ウィーン】ウィーン美術史美術館


    ウィーンの美術館といったら、美術史美術館というほど有名であり、重要度からいっても第一級の美術館です。
    美術史美術館所蔵作品の展覧会は日本でも何回か開催されているので、日本でも結構なじみのある美術館だと思います。
    外観はもちろんですが、内装も非常に優雅で気品あり、特にクリムトが手掛けた装飾画はひとつの見どころです。
    マリアテレジア広場を挟んで向かいには、自然史美術館があります。

    ルネサンス、フランドル、バロックと非常にクオリティの高いコレクションを有しています。美術史美術館については、展示内容は至る所で紹介されているので、ここでは逐一挙げませんが、18世紀までの絵画に興味があって行けば自分のお気に入りの一枚に出会えるはずです。
    展示室は大きく、壁一面に絵がかかっているギャラリーもあります。ソファもありゆったり鑑賞できます。

    目玉のひとつのフェルメールの「絵画芸術」は上野に来たときは遠くから眺めるだけでしたが、ここでは近くで細部まで鑑賞することができました。
    コレクションの核のブリューゲルもじっくり見られました。デューラー、クラナハなどもそろっています。
    イタリアのバロックでは、カルロ・マラッタの作品が気になりました。やわらかい温かみのあるデッサンとタッチが聖母子像と非常にマッチしていると思いました。

    カフェを併設しており(カフェ・ゲルストナー)、食事をしたりお茶で休んだりして、ゆったりと鑑賞できるのも非常に嬉しい。
    ミュージアム・ショップも面積が広く(2Fにもあり)、いろいろなものを扱っています。
    ウィーンに行ったらまず訪れたい美術館です。



    エル・グレコ展 東京都美術館


    エル・グレコの大規模な回顧展です。
    50点以上を集め、さらに縦3m超の祭壇画も展示しています。
    美術史においてエル・グレコはユニークな位置を確立しており、それぞれの作品が面白く観ていて飽きさせないですね。

    展覧会で、エル・グレコの言葉が紹介されていて、シチュエーションによって人体の比が変わってくる、というものがあったと記憶していますが、その通りにエル・グレコは場面ごとに人体のプロポーションに変化をつけて描いています。あまりやりすぎるとデッサンの狂いであまり見れない絵になってしまいますが、エル・グレコは上手く処理していて、特にダイナミックな人物構成のときにはこのデッサン処理が光っていると思いました。
    これにはまずもってエル・グレコの独特の人物画風が大きく影響していていると思います。あのような人物表現だからこそ、手足などの極端な伸ばしも味に変換できているのだと感じました。もし写実表現ある人物であったら人体プロポーションを変えることは即デッサンの狂いになってしまいます。

    個人的には、もろもろの肖像画、十二使徒シリーズ、受胎告知、無原罪の御宿り(祭壇画)が見どころと思いました。
    ダイナミックな画面構成なども見応えがあるのですが、人物の一枚絵もかなり存在感のある見事な仕上がりをしていると思います。
    奇跡のクラーク・コレクション 三菱一号館美術館


    アメリカ、マサチューセッツ州にあるクラーク美術館の近代フランス絵画コレクションを紹介する企画展です。
    19世紀フランス美術という個人的な好みに直球な内容であったこともありますが、流し見で済ませるような作品が少なく、見どころの多い大変内容の濃い展覧会になっていたと思います。
    クラーク・コレクションのセレクションの良さを十二分に実感できました。

    副題が「ルノワールとフランス絵画の傑作」となっているように、20作品超のルノワール作品が集まっています。これだけ集まると、ルノワール展という趣きも感じてしまうほどです。
    これについては、コレクションを収集したスターリング・クラークがルノワールを非常に高く評価し、コレクションの核としてルノワール作品の収集に注力したことによります。しかも、スターリングが、初中期のルノワールを特に評価し、後期、晩年の作品についてはあまりポジティヴな評価をしていないこともあり、ほとんどの作品が70、80年代の作品で占められています。
    個人的にも、初中期は画面構成、人物表現が練られていて、印象派的表現の中にも絶妙なデッサン(線描)のクオリティを残しているのが良いと思います。後期になると、初中期の構成や色彩は後退し、線も極端に固くなったり、デッサンが崩れ気味になったりと洗練さがなくなっているように感じてしまいます。このような個人的なテイストからもスターリング・クラークの審美眼には共感しますし、集められた作品は有名作品は少ないとはいえ、完成度の高い秀作そろいだと思いました。
    特に青のトーンの統一が美しく、筆が丁寧に入れられたテレーズ・ベラールの肖像は良いと思いました。補色としての黄色が服や背景、肌にとり入れられています。
    また、今回久しぶりに鑑賞できた、「うちわを持つ少女」「眠る少女」も非常にクオリティが高い。静物画でも、玉ねぎを描いたものは、玉ねぎのサーモンピンクと背景などの淡い青緑が対照をなしていて、玉ねぎを非常にフレッシュに美しく描き出しています。

    フランスのアカデミズムのセクションでは、なんといってもジャン・レオン・ジェローム作品がハイライトになっています。ジェロームの油彩作品を複数点見られる機会というのも海外にいってもあまりない中、「奴隷市場」、「蛇使い」と傑作を日本で一度に鑑賞できたことに興奮しました。
    また、ウィリアム・ブグローやカロリュス=デュランの作品も良いものが展示されていました。
    さらに注目したのは、ファンタン=ラトゥールの薔薇を描いた静物です。落ち着き払っていて、とても気品のある作品であると思います。くすんだ灰色の背景に大輪の薔薇の花々が控えめに映えていますね。この色遣いはファンタン=ラトゥールならではだと思います。
    その他は、アルフレッド・ステヴァンスの女性像がとても上手く、見応えがあると感じました。構成も物語性を感じさせ、質感表現も文句なしの仕上がりです。ベルギー生まれの画家でパリで活躍したようです。

    19世紀フランス絵画を知るには絶好の企画展だと思います。ルノワール以外の印象派も充実しています。奇跡の~という風呂敷を広げ気味のタイトルが許容できる企画展でした。
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