芸術、書籍、音楽などのレヴュー。あるいは随筆。 - Revue de l'art, le livre, la musique etc, ou essai.
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  • 大エルミタージュ美術館展 国立新美術館


    世界でも屈指の質と量の収蔵品を誇る、エルミタージュ美術館のコレクション展です。
    16~20世紀の絵画をセクションごとに分けて展示してあり、西洋絵画史を一望できる内容になっています。
    ペテルブルク、エルミタージュ美術館にはいつか行ってみたいですね。

    ティツィアーノ作品から展示は始まり、17世紀絵画の章から、ルーベンス、ヴァンダイク、レンブラント、と大画家の作品が並びます。
    特に、レンブラントの「老婦人の肖像」は他を圧倒するような表現に引き込まれます。表情や手は、厚塗りの短いタッチで盛り上げられており、近くで見ると肌の表現としてはどうなのかと思える感じですが、これを全景を通して見ると老婆の存在感を増すように服・背景との対照をつくっています。

    18世紀の章も、ブーシェ、シャルダン、グルーズ、ヴィジェ=ルブランなど見どころが集まっています。
    ルブランの自画像は見るのは2度目になりますが、やはり完成度の高い作品でこれだけの展覧会の中でも埋没しない魅力があります。
    今展で推されているジョシュア・レノルズのウェヌス(ヴィーナス)ですが、背景などのところどころの処理はあまり良いとは思えなかったのですが、ウェヌスの妖艶さにはインパクトがあります。筆も大胆さ、勢いがあって、ルーヴルのイギリス絵画セクションにある少女像のイメージとは離れた作品だなと思いました。

    19世紀絵画の章は、個人的には一番楽しめる内容でした。
    ヴィンターハルターの「女帝マリア・アレクサンドロヴナの肖像」(上図)は、隙のない人物表現と、タッチの活かされたドレスの表現が絶妙にマッチしている作品です。ドレス単体だけで見ると、何か整っていなくて汚らしい感じもしてしまいますが、全体で見たときに動的で、周りと比べて沈まずに、表情や肢体を活かすように構成・表現していることが分かります。流石というしかない表現力ですね。
    加えて、ジョセフ・ベイル「少年料理人」も劣らずのクオリティある作品です。ベイルの名は知らなかったのですが、ジェロームやカロリュス・デュランのもとで学んだ画家だそうです。人物、衣服、ガラス、金物の描き分け、質感の表現など、本当に見事です。調べてみるとベイルは、このようなテーマの作品をいくつか描いているみたいです。機会があれば他のヴァージョンも是非見てみたいです。

    最後は20世紀の近代絵画の章で締めくくられます。マティスの「赤い部屋」が見どころになっています。強烈な作品であるといえますが、構成、デザインなどの観点から見たりすると面白いと思います。同画家の「少女とチューリップ」という作品も、そうして見ると、洒落ていて魅力ある作品に映ってきます。
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