芸術、書籍、音楽などのレヴュー。あるいは随筆。 - Revue de l'art, le livre, la musique etc, ou essai.
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  • 生活と芸術 アーツ&クラフツ展 東京都美術館


    19世紀後半、イギリスから広がったアーツ&クラフツ運動を俯瞰する展覧会です。ウィリアム・モリスを中心として、ドイツ、オーストリア、ハンガリーなどヨーロッパ諸国、そして日本におけるアーツ&クラフツの広がりを見ることのできる、豪華な内容になっています。イギリスのヴィクトリア&アルバート美術館の全面的な企画・協力になっています。
    このような展示は、パリの装飾芸術美術館やモード・テキスタイル美術館以来であり、モリスの作品は見たことがなかったので良い機会でした。

    モリスは、タペストリが迫力があり良かったです。特に、1888年のアーツ・アンド・クラフツ展教会の第1回展覧会で発表された「森」(下図、部分)は、重厚で見ごたえある作品だと思います。うねるようなアカンサスの葉の中に、おごそかにたたずむ動物は、とてもこまやかに表現されており、技術の高さや織物装飾の可能性を見せてくれます。
    内装用のファブリックとしては、「いちご泥棒」(上図)、「薔薇と薊」、「グラナダ」などが見られます。シックでありチャーミングな「いちご泥棒」や、クラシカルで綺麗な「グラナダ」など幅広く、そして情熱をこめてデザインを制作していたんだなと素人ながらに感動しました。

    第二章の「ヨーロッパにおけるアーツ&クラフツ」は、モダンな作品が多いような印象でした。たとえばドイツでは、「イギリスの手本があまりにも反工業的だとし、製品の品質が確保される限り、生産効率を上げるために機械技術に頼ることを認めた」、と解説されていますが、このように国によって、アーツ・アンド・クラフツ運動の受容の仕方が異なっており、それがどのように作品に表われてくるのも興味深い視点だと思いました。
    ここでは工芸作品が見所だと思いますが、中でも、ドイツのペーター・ベーレンスが気に入りました。またハンガリーのジョルナイ工房の作品の独特な形と色づかいも面白かったです。ベーレンスは、最初は画家でありウィーン分離派に参加していて、後に建築家に転向し、大手電機会社AEGの芸術顧問に就任、コルビジェを指導したこともある…、と近代建築においてかなりの業績を上げた人物で、「4つのジョッキ」をはじめとして、作品も洗練されていました。

    第三章はがらりと装いをかえて、日本の民芸運動に焦点を当てています。運動のシンボリックな建物である、「三国荘」を紹介する展示は力が入っていました。


    京都、東京、愛知をまわる巡回展です。
    ショップがかなりにぎわっていました。こういうところではあまり時間を使いませんが、ポスターがいい感じだったので、衝動買いしてしまいました。





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