芸術、書籍、音楽などのレヴュー。あるいは随筆。 - Revue de l'art, le livre, la musique etc, ou essai.
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    レオナール・フジタ展 上野の森美術館


    今展は、レオナール・フジタの回顧展であるという以上に、フランスで発見された幻の大作、「構図」、「闘争」のおそらく最後の里帰り展示となるメモリアルな展覧会です。北海道、栃木、東京、福岡、仙台と次々にまわる大型の巡回展になっています。

    それでは、セクションごとに軽く振り返っておきます。
    第一章は、フジタの初期作品で、あまり見ることのない乳白色に至る前の作品が見られます。モディリアーニと親交があったとはいえ、かなり影響を受けている、アルカイックな絵があっておどろきました。
    第二章は、「構図」「闘争」を展示するセクションです。作品は、見つかった当初のボロボロの状態が、こんな綺麗になるんだ、と感心する変わり様です。展示の最後に、修復過程を紹介するビデオがあります。
    「構図」は「闘争」とは異なり、人物が背景の色に近い色で塗られているので、色のあるものや動物が浮き立って見えてくる感じです。「闘争」は、人物のからませ方やその配置に独特のものがあり、恐る恐る引き込まれる印象です。特に、左隻の棒を振り上げる男からの周りの広がりに気が遣われているのかなと見受けました。
    この二章で個人的に気に入ったのは屏風形式で描かれている「猫」です。20号くらいの油彩の同じような趣向・モチーフの猫は以前の展覧会でも見ましたが、こちらは、広い横長の画面に絵がかれることによって、まるで連続写真のような、流れる構図としての面白さが出てきています。さらに猫と共に描かれる魚や蟹がアクセントにもなっており、猫の配置や動きを助けています。フジタは、猫の野獣性に着目していたそうですが、猫の目や口を特徴的に描き、躍動感ある身のこなしを表わすことで、感情面から猫の野獣性を表現しています。
    三章は、フジタが最晩年を過ごした、「ラ・メゾン=アトリエ・フジタ」に焦点を当てています。アトリエが再現されてあり、そこにあった調度品の数々を同時に見ることができます。
    四章は、キリスト教に改宗した後の、宗教画がメインとなっています。数年前の展覧会で見た作品もありましたが、前に見たときと同様に、親しみを持ったり、もっと見たいというような気分にはなりませんでした。猫や子供を描いているときのフジタと、宗教画を描いているときのフジタは、絵に向かう気持ちというか、アイデンティティの面から異なる存在のように感じてしまいますね…。しかし、彼が手がけたランスの「平和の聖母礼拝堂」は、相当な気力を注いだことがうかがえる展示になっており、直接見ることはかないませんが、資料的な観点からフジタの晩年の仕事ぶりがうかがえます。
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