芸術、書籍、音楽などのレヴュー。あるいは随筆。 - Revue de l'art, le livre, la musique etc, ou essai.
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    フェルメール展 東京都美術館


    35、6点とされるフェルメールの作品の中、7点を展示する展覧会。
    フェルメールの絵画は世界各地の美術館に散らばっている状況ですが、日本で同時にこれだけ見られるというのはすごいことです。近年フェルメールの作品をメインとした展覧会がいくつかありましたが、日本に一点もない画家の作品が、日本にいてこれだけ見る機会が多いというのも、フェルメールの人気を示す事実でしょう。

    構成は、フェルメールの作品を核として、17世紀半ばにデルフトにて形成された、デルフト・スタイルの画家の作品を展望する、という感じでした。
    最初のセクションは、建築画メインで、デルフトの教会の外観や内部建築を描いた綿密な作品が並んでいます。特にヘラルト・ハウクヘーストの2点は感嘆するしかない出来栄え。完璧に書き込まれた細部と、全体に芯を与える巨大な円柱がバランスをとっていて、堂々とした出で立ちをしています。光の強さも2作品で違っており、その表現も見所だと思います。
    その他、パースペクティヴの技法を自在に駆使した作品ばかりで、技術的にレヴェルの高い作品が多かったです。

    ファブリティウスやデ・ホーホのところも、展覧会の大きな見所となっています。ファブリティウスは、レンブラントの弟子で、師から高く評価されていた画家のようです。ただ残念なことに、デルフトの火薬庫爆発事故で、多くの作品と共に、短い生涯を終えた画家であって、作品数が少なく、評価が行き届いていないみたいです。レンブラントの画風を直接的に表した絵もありましたし、もっとスマートな写実的な作品もありました。不可解な作品である「歩哨」は、確かにミステリアスで、印象深い絵ですね。
    デ・ホーホは、フェルメールと同時代の画家として重要視される一人ですが、個人的にはそれほど注目したい画家ではないです。風俗画としたら、デルフト派の文脈ではないけど、やはりヤン・ステーンかなと。

    フェルメールのセクションは、一点一点を分けて、豪華に展示していました。確かに混雑必至なのでこういう展示が良いと思います(ただ流れながら見られない、というのはありますが)。フェルメールの作品は、抽象的にいってしまえば、崇高な感じを受ける作品が多いです。ミステリアスな物語性にしても、いずれかの人物が焦点化される、少ない人物配置にしても、その作品を埋もれさせずに、独り立ちさせる、何かしらの唯一性を強く示している、というか。さらに、同時代のべったりとした(?)風俗画にはない、洗練され落ち着き払った表現、その中の格式ある光の表現がこれを支えています。今回では、「リュートを調弦する女」は、そう思える作品でした。それと、華やかな、「ワイングラスを持つ女」も、色の配置や人物構成がまとまっていて、良い作品だと思いました。小さな作品が目立つフェルメールですが、このくらいの大きさの絵だと、とても見栄えが良いですね。

    自分は、金曜の17時前後の夜間展示がはじまるくらいの時に見られたので、比較的混雑しないで見られました。土日の昼間などはかなり混んでいるのではないかと思います。
    「絵画芸術」が見られないのは残念ですが、数年前の展覧会で、人だかりの隙間から覗き込んで見たのを思い出しました。
    またフェルメールの作品が来るようなので、しばらくはフェルメールの企画が続くのでしょうか。今後にも期待して、締めくくります。

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    スタジオジブリ・レイアウト展 東京都現代美術館


    ジブリ映画のレイアウトを大規模に見せてくれる展覧会です。
    さて、レイアウトとは、公式HPでは「一枚の紙に、背景とキャラクターの位置関係、動きの指示、カメラワークの有無やそのスピード、撮影処理など、そのカットで表現される全てが描かれた映画の設計図とも言えるもの」と説明されています。レイアウトには、どのようにアニメーションを組み立てていくかのアイデアがつめ込まれており、そのディテイルやプロトタイプとして見ることができます。絵画でいえば、最終カルトン(下絵)に至る、様々な断片的スケッチや小下絵のような位置づけでしょうか。完成作品の裏側をのぞくことができるということは、とても貴重であり、やはり楽しいものです。

    出展作品は、最新作「崖の上のポニョ」までの宮崎駿監督作品はもちろん、「海がきこえる」「猫の恩返し」「ゲド戦記」などのジブリ作品を網羅しており、さらに、ジブリ創設以前に宮崎駿が手がけた「ハイジ」「未来少年コナン」などもあります。そのため、相当な数のレイアウトが犇めいている、といった展示会場になっていました。
    人口に膾炙しているジブリ作品とあって、とても親しみを持って見られることは確かであり、名シーンのレイアウトを、アニメーションを思い起こしながら楽しめると思います。しかし、その一方で、かなりマニアックな展示であるともいえるでしょう。ジブリ映画そのものに詳しい人や、大枠でアニメーションに携わっている人でないと、深く味わえない展示であるとも思いました。それほど、レイアウトを前面におす今展は、完成作にいたる過程、という見えにくい部分をさらけ出している展覧会であり、ただ単に美術を見せる展覧会ではないと感じます。

    初めて見たレイアウトというものですが、線をなぞっているものもあると思いますが、鉛筆の線が柔らかく、かつスマートであって、全体が色鉛筆か色コンテのようなもので淡く色づけられていて、スケッチ風の絵として鑑賞できるものもありました。レイアウトでも手が抜かれていなく、細やかにディテイルが書き込まれたのもなどは、あっと驚かされ見入ってしまいます。特に、数の多かった「千と千尋」や、「もののけ姫」「ハウル」などは、躍動感あるレイアウトやメカニックや背景のディテイルが多く、見所かなと思いました。

    ありていにいってしまえば、ジブリ作品には、世界観というものが重要なキーになってくる作品が多いからこそ、それらをひとつひとつ具現化する設計図が、構想豊かに綿密に仕上げられている必要があるのだと思います。こういった企画はこれからも期待したいです。
    展覧会は9月28日までです。



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