芸術、書籍、音楽などのレヴュー。あるいは随筆。 - Revue de l'art, le livre, la musique etc, ou essai.
  • calendrier
  • フェルメール「牛乳を注ぐ女」とオランダ風俗画展 国立新美術館


    平日に行ったものの、やはりそれなりに混んでいました。
    見るのを放棄させられるほどではなかったですが、混んでいるところは、電車に乗りながら見ているようで疲れました。フェルメールの名はすごいです…。

    油彩絵画は、17世紀の風俗画メインの「黄金時代の風俗画」、それに続く18世紀の「偉大なる17世紀の継承と模倣」、そして最後の「19世紀後半のリアリズムの風俗画」のセクションです。その他、版画と素描、工芸品などが展示されています。版画のセクションも、絵画に負けず劣らずの、緻密さがあって見ごたえがありました。


    「黄金時代」の風俗画
    この章は、ヤン・ハーフィクスゾーン・ステーンとハブリエル・メツーがメインとなっていたように思います。ヤン・ステーンの方は、ちょっと作品を見たことがあったので知っていましたが、メツーという画家は初めて見ました。この章では、題材も、また比較的に筆の捌きも分かりやすい絵が多かったと思います。
    特に、ヤン・ステーンの絵がクオリティの高いものが数点来ていたと思います。ヤン・ステーンは、デッサンが超絶的に上手い、というわけではなく(広く見て、この時期のデッサンの確かさは確実に静物>人物だと思いますが)、人間の生活模様を生き生きと動的に表現することに長けています。対して、塗りの方ですが、これはこの章を見渡しても、格段に完成度が高いと思います。ともにバックギャモンに興じる男たちのいる、「二種類の遊び」、「鸚鵡の鳥籠」、などは特に見ごたえがあります。

    偉大なる17世紀の継承と模倣
    表題にあるような形式での作品が並びますが、確かに、植物や工芸品、レリーフなどの静物の質感表現や細かさなどが注目される作品が多かったです。
    ミヒール・フェルステーフの「台所の女」が気に入りました。暗い台所に女性が描かれており、全体を弱いランプの光が包み込んでいる絵です。隣に展示してあった、アドリアーン・ムーレマンスの絵も同主題です。この章の中でも上にいく、デッサン、塗りのクオリティの高さが目を引きます。また、焦点が定まりにくい絵が多いですが、この絵に関しては構図・構成も良いです。女性が立ち止まって、眼をこちら側に向けているのですが、それが一瞬の緊張を生んでいるように思います。

    19世紀後半のリアリズムの風俗画
    個人的に楽しめる作品が多かったです。以下、気に入った作品のコメントを書きます。
    ■クリストッフェル・ビスホップ「日の当たる一隅」(最上図)
    珍しく水彩画です。確かなデッサンと、日の通り道と人物配置が工夫されている構図。画面手前の光の強く当たる台の荒い塗り、対する人物の柔らかい塗り、という風に、水彩において、このヴァリエーションと、シックかつ重厚な仕上がりの良さはすごいと思います。窓のあたりのつくりがどうなっているのか良くわからずじまいでしたが、展覧会の中で一番良い作品だと思いました。

    ■ヤーコブ・マリス「窓辺の少女」
    画家は、バルビゾン派に影響を受けた人とのこと。逆光を用い、考え事をしているのか、仕事に疲れてひと時休んでいるのか、少しうつろな少女が描かれています。静かで暗いトーンが心象表現をなしており、人物全体を切り取るような細長の画面構成も少女への焦点化を強調していて良いと思います。

    ■ヘンドリック・ヨハネス・ウェイセンブルッフ「ハーグの画家の家の地階」(下図)
    タッチを活かした厚い塗りの絵で、まず構図に目がいく絵だと思います。画家(見者)の視点がある部屋を前面に置いていますが、そこには誰もおらず、平凡な壁や床が広がっており、光の差す奥の部屋に人物が小さく見えます。不在や、その奇妙さや静けさが一層強調されていて、面白みを感じます。







    スポンサーサイト
    フィラデルフィア美術館展 東京都美術館


    アメリカの美術館でも屈指のクオリティを持つ、フィラデルフィア美術館からの近代以降の絵画と若干の彫刻を集めての展覧会。
    構成は、最後のアメリカ美術の章を除いて、年代・流派順であり、数も絞って展示していたと思います。

    やはり個人的には、印象派以前の近代絵画が楽しめました。
    有名画家の良い作品が来ていたと思います。
    逆にキュビスムのところは、まだ苦手でさらっと見てすませてしまいました。
    具象なら具象、抽象なら抽象、と明確な区切りがあるといいのですが、現実のものを形や色、パースペクティヴなどを変えて再構成するというのは、違和感があるのです。

    そういうことで、以下は、主に印象派までのコメントになります
    [フィラデルフィア美術館展 東京都美術館]の続きを読む
    クラウドベリー・ジャム 雰囲気づくり Cloudberry Jam PROVIDING THE ATMOSPHERE


    スウェーデンのロックバンド、クラウドベリー・ジャムのセカンド・アルバム。
    90年代のスウェディッシュ・ポップのブームのときに結構ヒットしたアルバムのようですが、その時代を並行して聴いていたわけでないのでどのような位置づけや評価を得ていたのかはよく知りません。しかし、普段洋楽をあまり聴かない僕にとっても、この作品はとても聴きこむことができました。

    低音が響き、声の強弱やトーン、響かせ方に雰囲気を持たせて歌うことのできる、ジェニーのヴォーカルは、聴いていて心地よく、落ち着けます。またコーラスは、補助的というよりもっと積極的な役割にあって、ヴォーカルとのハーモニーを感じます。
    演奏も、積極的に色々な打楽器やマラカスなどを用いたり、ところどころシンセで効果的に音を足したりと、工夫されており、とても面白みがあります。
    疾走感あるM1「Cliches」のイントロから引き込まれ、全曲を通して退屈することなく聴けるアルバムだと思います。M1「Cliches」、M4「Another Moment Follows」、M5「Direction Still Unknown」のようなテンポが速く、ロックテイストな曲と、M3「Nothing To Declare」、M7「Life In This Way」、M13「Whatever Happens」のような、コーラスとの掛け合いやハモり、リズミカルで面白い曲調がピックアップされる曲とのバランスが取れている印象です。
    お気に入りは「Cliches」で、これをかけると何か気分が弾みます。M12「Wandering, Wondering」のようなマイナーで、情感ある曲も、ジェニーのヴォーカルがメロディをすごく引き立たせており、好きです。

    クラウドベリー・ジャムは、1998年に、自身の音楽とビジネスとの関係に疑問を抱き、一旦解散したのち、2004年に再結成しますが、再結成後にリリースされた「movin' on up」、「The Great Escape」は、よりポップで垢抜けた感じになっており、音楽性が結構変わってしまっています。この「雰囲気づくり」のようなテイストから離れ、冒頭から金管楽器が幅を利かせてきたりと、個人的には、ヴォーカルとの調和という点でちょっと違和感があります。このような意味からも、「雰囲気づくり」は、ヴォーカル、コーラス、ミュージックにバランスと面白さがあり、個人的に代替が利かないアルバムになっています。
    マツリノオワリ
    学生生活最後の文化祭が終わりました。
    少し自分語りします。
    [マツリノオワリ]の続きを読む