芸術、書籍、音楽などのレヴュー。あるいは随筆。 - Revue de l'art, le livre, la musique etc, ou essai.
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  • オルセー美術館 Musee d’Orsay


     ルーヴルに続く、フランス屈指の大美術館。昔の駅舎を改造して使っているだけに、展示環境もとてもいいですね。新古典主義から現代絵画までの19,20世紀絵画を取り扱っています。

     新古典主義の展示室は本当に、僕の尊敬する画家たちばかりなので感動ものでした。アングル、ジェローム、カバネル、エネルなどは勿論、前々から作品を見て素晴らしいと感じていましたが、ここではアングルの弟子、アモーリ・デュヴァルも一目見て魅かれました。新古典主義とくくられる、この時代のアカデミズムは、印象主義などの革新運動と比較され、ともすれば、お堅い、古臭いなどというイメージと結びつきますが、技術は並みのものではなく、それまでの古典絵画にはない洗練されたものを持っていると思います。解説プレートにあった、美術作品とは「澄んだ水のようなもので、香りがなければならないほど健全」なものであるという、新古典主義の基本理念ともなったヴィンケルマンの言葉が印象的でした。

     それからは、ロマン主義が続きます。シャセリオー、ドラクロワなどの有名な作品が並びます。そして中ほどまで進むと現れるのが、トマ・クチュールの「退廃期のローマ人」。この巨大作品は見るものを圧倒させます。建物、床などの周囲の処理は、クチュールの作品にしばしば特徴的な背景処理の仕方にある、平面的な塗り方で済ませていて、線などは木炭でそのまま引いているのですが、人物はそれと対照的に、かなり力強く描かれていて、ロマン主義的な印象を受けました。

     一階の入って右側、リール・ギャルリーの最後のスペースには、異色の、ドガの1870年代までの作品を置いています。踊り子で特徴的な時代のドガの画風とは結構異なっており、ドガとは思えない感じです。モローなどと交流があって、まだ、印象主義画家が取り上げるような、身近な画題を選んでいない頃の作品ということなんでしょう。

     それとオルセーで一番存在感を出しているのが、クールベ。「オルナンの埋葬」と「画家のアトリエ」は、有名で、しかもすごい迫力の絵です。これを見るだけでも行く価値が発生すると断言できますね。それと、このクールベのコーナーには、問題作「世界の起源」もあります。外人さんも、見るとにっこりしたり、歓声を上げたりしてました。

     それから、クールベの一画があるセーヌ・ギャルリー側には、バルビゾン派や印象主義の作品が並んでいます。こちら側で特に興味を引いたのが、カロリュス・デュランとジェームス・ティソの部屋。ともにリアルな描き方をしますが、デュランの方はすこし筆を大胆に使う感じで、ティソの方が写実的でした。日本ではあまり見る機会がない画家だと思うので見れて良かったです。またこちらの側の部屋には、「オランピア」はじめ、マネの珠玉の大作が置いてあります。

     地上階から一番上レヴェル5に行くと、印象派の階になります。
     入ってすぐのファンタン=ラトゥールの部屋は、迫力ある集団肖像画が沢山あります。小さい絵しか見たことのなかったので、正直見直しました。
     それからは、お馴染みの印象派巨匠の作品がずらりと続き、まさにオルセーに来たっていう感じです。
     特にルノアールは、僕の一番のお気に入りの「都会のダンス」「田舎のダンス」の連作、そして、有名作「ムーラン・ド・ラ・ギャレット」があり、ルノアールの絵の優美さが良く伝わってきます。

     そして、順路を追ってレヴェル2に降りると、アカデミズムや自然主義の作品の大作が並ぶ、大きな展示室がまず、目をひきます。あとは、アール・ヌーヴォーの展示が良いですね。ガラス工芸から、家具・調度品までいろいろあります。

     全体的な印象は、ルーヴルとは違って、吹き抜けになっている、一つの大きな空間に、絵画を展示する部屋と、彫刻作品を配置してある通路がフロアを構成していて、とても芸術空間としてのまとまりや流れが感じられる、良い美術館であるなと思いました。
     要望としては、収蔵庫にあるだろう、多くの展示されていない絵画も、もう少し見てみたいですね。良く「オルセー美術館蔵」って書いてる絵画を見ますが、実際に展示していない作品も多かったので。





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