芸術、書籍、音楽などのレヴュー。あるいは随筆。 - Revue de l'art, le livre, la musique etc, ou essai.
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  • 大英図書館


    ロンドンの大英図書館は世界有数の規模を誇る図書館です。
    ビジターは基本的には資料閲覧など利用はできませんが、歴史的に貴重な資料をおさめた常設の展示室があり、こちらは自由に見学することができます。
    また、企画展(有料)もやっています。

    こちらには、アリスファンとして、ルイスキャロルの原稿など、アリス関係資料があると思って行きましたが、訪問時は残念ながら発見できませんでした。
    エントランスロゴのアリスは釣りじゃないかという感じですがやむをえません。
    常設展示室は古今東西の一級資料、また書籍から楽譜、美術的資料まで幅広く扱っていました。
    資料はデジタルアーカイヴ化されており、専用端末でいろいろと閲覧することができます。「地下のアリス」は端末で見られました。

    併設のショップでは書籍、グッズなどいろいろと取り揃えていました。アリスグッズなどもあります。
    カフェは、オリジンコーヒーというシングルオリジン系のカフェが入っています。ロンドンは、東京ほどスペシャリティコーヒーが充実していないなか、オリジンコーヒーは味もよくおすすめです。
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    テイト・ブリテン


    テイト・ブリテンは、ナショナル・ギャラリーとともにロンドンを代表する美術館であり、中世から現代までのイギリス美術を扱っています(単にイギリス出身画家というだけではなく、イギリスに関係する画家など包括的に扱っています)。
    テイトは、複合美術館であり、テイト・ブリテンやテイト・モダンなどいくつかの美術館から構成されています。
    ラファエル前派のコレクションが有名で、ミレイ「オフィーリア」など主要な作品が鑑賞できます。
    なお、個人的には意外に思ったのが、かなりのところ戦前後から現代にいたる現代美術が多いということで、単純に美術館を左右翼に分けると、約半分は現代作品という感じです。
    メインフロアが常設展スペースとなっており、地階には、企画展展示スペースがありました。

    常設展示は、入り口から見て奥から年代に区切って展示室を分けており、この点は分かりやすいです。
    ただ、大方の来場者がお目当てにしている、ヴィクトリア朝絵画、ラファエル前派のセクションは作品数が物足りない感がしました。
    この時代のセクションは、もちろん一番大きいギャラリーを占めているのですが、大作が多いのと、画家が分散することもあって、有名画家であっても意外に2点くらいしか見られないです。現代美術の展示室のゆったり感と過疎ぶりを見るに、(構成を無視して欲を言えば、)ヴィクトリア朝絵画でもう2つくらいは展示室が欲しいです。

    年代順に構成された常設スペースとは別に、イギリスを代表するターナーのコレクションは複数の展示室からなるギャラリーを与えられています。圧巻としかいいようがなく、作品数、クオリティともに比肩するものがないです。これを見ると、やはり特別な存在なのだと分かります。
    ブレイク、コンスタブルの部屋も一室ずつあります。

    カフェテリアと高級そうなレストランがあります。カフェテリアは結構食事や居心地がよくおすすめです。

    コレクションはビジュアルアーカイヴされており、HPで簡単に見たり調べたりすることができます。


    * * *

    ■ウォーターハウス
    2点。近くではかなり粗いタッチで何を捉えているのかよく分からない感じもするが、遠目から統一的に見ると草木や水面を立体的にリアリティを持って捉えている。


    「シャロット姫(部分)」(クリックで拡大)

    ■ラルフ・ピーコック
    「エゼル(Ethel)」(1897)は質感表現が素晴らしい。背後の木彫はかんたんなタッチで描かれているがリアリティが高い。
    上述のウォーターハウスも含め、現代の「写実=スーパーリアル(つるつるの画面に筆致を残さずグレーズ)」に十分なインパクトを与えており、精巧さ・技術の高さというものが必ずしも魅力やリアル感といったものに比例しない、ということの証左にもなっていると思います。


    「エゼル(部分)」(クリックで拡大)

    ■ウィリアム・ダイス
    ミレイのラスキン肖像を思わせる、岩の博物館額的な質感表現に目が行く。


    ウォレス・コレクション


    6-7月でロンドンを回ってきたので、いくつか美術館レヴューを残しておきたいと思います。
    まずは、ウォレス・コレクションから。
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    18、19世紀の4世代に渡るハートフォード侯爵家のプライベートコレクションを基礎にしたコレクションで、屋敷とこのコレクションを受け継いだリチャード・ウォレスの名によっています。リチャード・ウォレス自身も美術収集を行い、コレクションを拡充したようです。彼の死後は英国政府に寄贈されており、入場は無料です。

    貴族の屋敷、美術コレクションということで、邸宅そのものが美術品という趣であり、コレクションもその性格を色濃く映しています。
    家具・調度品はもちろん、武具(甲冑、剣、鉄砲)が大変多く、中世の騎士文化などに興味がある人にとっても見る価値が大いにありそうです。

    この美術館については、あまり事前の知識がなく行ったので、ロココ美術が多少あるだけで時間がなければ省いてもいいかと思っていました。訪問したときも、一階の武具や調度品を見ている段階ではまだそのような感想を持っていました。しかしながら、2階の絵画コレクションを見るとそのような考えは一掃され、ウォレス・コレクションの重要性やクオリティの高さがすぐに分かりました。
    イギリスやロンドンの観光ガイドでは大英博物館やナショナル・ギャラリーなどがまずもって推されますが、ウォレス・コレクションも全然引けを取っておらず、比較するのもあまり正しいとはいえませんが、クオリティでは(西洋美術館をもってしても)日本の美術館ではかないそうにありません。これほど一般認知度とコレクションのクオリティが乖離した美術館もあるのかというほどで、ヨーロッパで西洋美術を鑑賞するのであればまず押さえておきたい美術館です。
    ※調べると、外部貸し出しを行わないとの記載が散見され、そういったことからも認知度が抑えられているのかと思います。

    フランドル絵画、ロココ絵画、19世紀フランス絵画(新古典主義、ロマン派、バルビゾン派等)がコレクションの核をなしており、何度も言いますが教科書級、代表作級の絵画がいたる壁中に凝縮されています。
    驚いたのが、オーラス・ヴェルネの作品数で、計24点あるとのことで、個人美術館かと思わせるほど充実しています。オーラス・ヴェルネ以下、ドラロシュやアリ・シェフェールなどフランス絵画は、リチャード・ウォレス(もしくは第四代ハートフォード侯爵)が同時代に直接買い付けたものだと思われますが、19世紀仏絵画コレクションの存在はまったく知らず、また英国で鑑賞できる期待もなかったために、これほどの充実ぶりに非常に満足しました。
    日本語版ウィキペディアに作品数等も含め、かなり詳細にコレクションの内容が書かれているのを訪問後に発見しましたが、省かれている画家も結構あり、現地でメモした画家リストを残しておきます。
    また、キャプションはほとんどが額についたプレートのみで、別個に壁などに付されたものは基本ありません。


    ○ルネサンス絵画
    ティツィアーノ 

    ○フランドル絵画
    フランス・ハルス
    レンブラント
    ロイスダール
    メツー 多数
    ヤン・ウェーニクス 大ギャラリーの2点の対となる大作は圧巻。
    ヨールダンス
    ヴァンダイク 大作あり

    ○スペイン絵画
    ムリーリョ 大作あり。多数
    ヴェラスケス

    ○17世紀フランス絵画
    プーサン
    フィリップ・ド・シャンバーニュ

    ○18世紀フランス絵画(ロココ美術)
    グルーズ 小品がメインだが、相当数のコレクション。
    フラゴナール
    ヴァトー
    ナティエ

    ○19世紀フランス
    オーラス・ヴェルネ 多数。個人美術館並の集まり具合。
    ドラクロワ
    ドゥカン
    ドラロシュ 多数
    トマ・クチュール 多数
    J.L.ジェローム
    アリ・シェフェール 代表作、大作「フランチェスカ」がある。
    カミーユ・ロクプラン ラ・フォンテーヌの「恋するライオン」の主題の絵画がある。
    ローザ・ボヌール
    エルネスト・メソニエ 多数
    トロワイヨン
    コロー
    ディアズ

    ○イギリス絵画
    トマス・ローレンス
    R.ボニントン
    J.レノルズ
    ゲインズバラ